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「うちには責任がない」 フェイクレビューで訴えられた賃貸サイトの言い分フェイクレビュー対策に乗り出す米国【中編】

偽の商品レビュー「フェイクレビュー」に関してFTCらから提訴された、賃貸物件仲介サイトのRoomster。訴訟の却下を申し立てた同社の言い分とは。専門家が指摘する、この訴訟そのものの問題点は。

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 米国6州の司法長官と連邦取引委員会(FTC)は2022年8月、賃貸物件仲介サイトを運営するRoomsterを提訴した。提訴の理由は、Roomsterが「フェイクレビュー」(消費者を欺く商品レビュー)に対価を支払ったことと、手頃な家賃の住居を探す消費者に、虚偽の物件情報へのアクセス料金を請求したことだ。

訴訟の却下を求めたRoomsterの言い分

 Roomsterは2022年10月、訴訟の却下を申し立てた。「FTCには、訴訟を進める憲法上の権限がない」というのが、Roomsterの主張だ。同社は申し立ての中で「当社は通信品位法(CDA:Communications Decency Act)の下で、ユーザーによる商品レビューに対する責任を負わない」とも述べた。

 裁判資料の中で、Roomsterは「『ユーザーを詐欺から守る』という米国政府の目標を常に共有してきた」と主張。詐欺の手口の巧妙化によって変化する課題に対しては「迅速に詐欺対策を講じるために、常に最善を尽くしてきた」と述べた。

 Roomsterに対する訴訟は「フェイクレビューを取り巻く、より複雑な問題に切り込んでいない」という批判がある。研究機関International Center for Law & Economics(ICLE)の競争政策を専門とする上級研究員であり、FTCで弁護士アドバイザーを務めたダン・ギルマン氏は、例えば「フェイクレビューの大量投稿を技術的に支える国際組織にどう接触するか」といった問題を指摘する。

 ギルマン氏は、この訴訟が「商品レビューの投稿を促す企業の責任を問うべきかどうか」という問題を十分に考慮していない点を問題視している。商品レビューを投稿する消費者に対して、インセンティブ(値引きや金銭的な報酬など)を与える企業がある。こうした企業の行動が、フェイクレビューの遠因になるという考え方がある。


 後編は、フェイクレビューによる企業への影響と、取り得る対処法を考える。

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