Google検索を裏で支える「評価担当者」の時給は? その意外過ぎる実態:Googleと労働者の戦い【前編】
検索エンジンの代名詞であるGoogle検索。その“質”を支えるのが「評価担当者」だ。この評価担当者の役割を担う外部企業の従業員が、交渉で異例の昇級を果たした。さまざまな意味で驚くべき、評価担当者の実態とは。
Googleの検索アルゴリズムの評価を担う外部企業の従業員が、交渉によって昇給を勝ち取った。この交渉で影響を受ける従業員は3000〜5000人に上るとみられる。
交渉で時給はなんと1.5倍に ただし実態は……
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Googleで検索アルゴリズムの評価を実施していたのは、人工知能(AI)モデルのトレーニングをサービスとして提供するRaterLabs(Appen傘下)の従業員だ。検索アルゴリズムの評価に従事するRaterLabs従業員の時給は、わずか10ドルだった。今回の賃上げによって、時給は経験に応じて14.0〜14.5ドルになる。
検索アルゴリズムの評価に従事する人は、Google社内で「評価担当者」と呼ばれている。Alphabet Workers Union-Communications Workers of America(AWU-CWA)は、こうした評価担当者を集め、組織を作り、昇給に向けた活動をしている。AWU-CWAは、Googleの親会社Alphabetの従業員(契約社員や派遣社員を含む)を代表する労働組合だ。
評価担当者はさまざまなクエリ(検索語句)に対し、検索エンジンの応答内容が適切かどうかを評価する。検索結果と、そこに表示される広告の関連性を評価する役割も担う。評価担当者の業務は、検索の精度を高める土台になる。一方こうした仕事は「クリックワーク」(スキルや経験をほとんど必要としない仕事)と呼ばれ、存在に見向きもされなかったり、人間ではなく機械が実行している仕事だと考えられたりしがちだ。
Alphabetは2022年第4四半期(2022年10〜12月)の決算発表で、総売上高の80%近くを広告から得ていると報告している。こうした状況にもかかわらず、Googleの検索アルゴリズムを評価する評価担当者の賃金は、決して高いとは言えなかった。
RaterLabsの従業員は、2022年5月に賃上げ交渉を開始。Googleに対して、独自の「給与基準」を順守し、それを正社員だけではなく非正規従業員にも拡大することを要求した。
2019年4月、Googleは同社の米国従業員の給与基準を設定し、非正規従業員を含む全従業員に最低時給として15ドルを支払うことを約束した。他にも福利厚生として、12週間の有給休暇、8日間までは有給休暇として扱われる傷病休暇、保健医療提供、年間5000ドルの学費支給などを発表済みだ。
中編は、AWU-CWAと評価担当者が賃上げ交渉を成功させるまでの経緯を説明する。
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