ERPを含む“1000個ものシステム群”をなぜ保険会社は「AWS」で動かすのか?:保険会社のクラウド移行【前編】
スイスの保険会社Zurich Insurance Groupが、同社のオンプレミスシステムをAWSのクラウドサービスに移行させる。多様なシステム群をクラウドサービスに移行させる目的とは。
スイスの保険会社Zurich Insurance Groupは2025年までに、オンプレミスシステムを全面的にAmazon Web Services(AWS)のクラウドサービス群に移行させる。AWSが2023年1月に発表した。移行対象になるZurich Insurance Groupのオンプレミスシステムは、SAPのERP(統合基幹業務システム)を含めて約1000個になる。
大手保険会社は膨大なデータをクラウドに集約
Zurich Insurance GroupがAWSのクラウドサービスを使う狙いは、システムの簡素化や最新化、自動化などだ。それと同時にアジャイル(俊敏)なアプリケーション開発を強化し、顧客に対するより良いデジタルサービスの提供を目指す。
AWSのクラウドサービスを利用することで、Zurich Insurance GroupはSAPのERPに関連するデータをまとめて収容するリポジトリ(保管場所)を作成する。そのリポジトリを使うことで、AWSが提供するデータ分析や機械学習といったサービスでデータを活用できるようになる。
Zurich Insurance Groupは、顧客向けアプリケーションの開発と市場投入を迅速化することを重視している。そのために利用するAWSのサービスは、リレーショナルデータベースサービスの「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)や「Amazon Aurora」、コンテナアプリケーションサービスの「AWS App Runner」などだ。クラウドサービスへの移行で、Zurich Insurance Groupは年間約3000万ドルのコストを削減できると見込む。
後編は、Zurich Insurance GroupがAWSのクラウドサービス群を選択した背景を探る。
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