英教育機関14校をランサムウェアグループが狙い撃ち 流出したデータは?:ランサムウェア攻撃が教育機関を狙う理由【前編】
ランサムウェア攻撃集団Vice Societyが英国の教育機関を攻撃し、データが流出した。攻撃者は教育機関から何のデータを盗んだのか。被害状況を整理する。
英国の教育機関14校がランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃集団Vice Societyによる攻撃を受けたことが、2023年1月に分かった。中にはデータ流出が発生するインシデントもあった。教育機関のどのような情報が狙われたのか。
教育機関から盗み出された情報が判明
公共放送局BBC(英国放送協会)の2023年1月の報道によると、攻撃を受けたのは2022年9月に被害のあったPate’s Grammar Schoolを含む教育機関14校だ。Pate’s Grammar Schoolが保護者に送付したメールから、攻撃によって個人情報に関するデータが流出したことが明らかになった。
この攻撃により14の教育機関から以下の「個人を特定できる情報」(PII: Personally Identifiable Information)が流出した。
- 「特別な教育ニーズ」(SEN:Special Educational Needs)」を持つ子どもの個人情報
- 修学旅行に参加する子どものパスポートコピー
- 職員の給与や契約情報
攻撃を受けた教育機関はPate’s Grammar Schoolに加えて以下の通りだ。
- Carmel College
- Durham Johnston Comprehensive School
- Frances King School
- Gateway College
- Holy Family RC & CE College
- Lampton School
- Mossbourne Federation
- Pilton Community College
- Samuel Ryder Academy
- SOAS University of London(SOAS: School of Oriental and African Studies)
- St Paul's Catholic College
- Test Valley School
- The De Montfort School
Pate’s Grammar Schoolの広報担当者によると、攻撃を受けた同校はフォレンジック(インシデント発生時に原因を特定するための調査)の専門家と協力して調査を実施。その後、攻撃を受けたシステムは再びインターネットに接続し、被害は最小限に抑えられたという。
その他SOASの担当者はBBCに対し、同校が2022年9月にサイバー攻撃を受け、約1万9000件のファイルを失ったことを明らかにした。
本稿執筆時点では、被害を受けた教育機関が身代金を支払ったかどうかは明らかになっていない。インシデントに関連する情報は、英国の政府機関である情報コミッショナー事務局(ICO:Information Commissioner's Office)が報告を受けている。
中編は、教育機関がランサムウェア攻撃の対象になる理由を探る。
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