「カナリアリリース」とは? クラウドをやめる「脱クラウド」の賢い手法:「脱クラウド」8つのステップ【第5回】
「脱クラウド」を決定したら、オンプレミスインフラへのアプリケーションの移行作業が必要だ。その際の選択肢として「カナリアリリース」がある。どのような特徴があるのか。注意点とは。
企業はさまざまな理由から、クラウドサービスで稼働させているアプリケーションをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」を選ぶことがある。脱クラウドを実現するアプリケーションの移行方法はさまざまだ。検討の余地がある選択肢を紹介しよう。
「カナリアリリース」で脱クラウド その利点と注意点
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連載:「脱クラウド」8つのステップ
- 第1回:クラウドをやめる「脱クラウド」を選ばざるを得なくなる“あの不満”の正体
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脱クラウドに踏み切る場合、アプリケーションのインフラ移行方法として「カナリアリリース」が適している場合がある。問題が起きないことを確認しながら、段階的にアプリケーションの移行を進める方法がカナリアリリースだ。炭鉱でのガス漏れにいち早く気付くために、ガスに敏感に反応するカナリアを持ち込んだことにちなむ。例えばカナリアリリースでは、一部のエンドユーザーからのリクエストだけを移行先のアプリケーションで処理し、その他のエンドユーザーのリクエストは移行元のアプリケーションで処理し続ける。
インフラを一斉に変更する一般的な移行方法で脱クラウドを進める場合、アプリケーションの全てのリクエストを一度にオンプレミスインフラのアプリケーションに転送することになる。カナリアリリースではこうした移行方法とは異なり、アプリケーションの稼働状況を確認しながら段階的に移行させることができる。
カナリアリリースで脱クラウドを進めれば、移行先のオンプレミスインフラに問題が発生しても、全てのエンドユーザーには影響しない。移行作業中に深刻なトラブルが発生した場合にも、クラウドサービスで迅速にアプリケーションを復旧させることが可能だ。
一部のエンドユーザーのリクエストだけを特定のインフラに転送するのは、複雑な作業になる。そのためカナリアリリースは、労力に見合った効果が得られるとは限らない。
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