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ユニリーバが完全“脱オンプレミス”で「クラウドオンリー」に その本気度は?「クラウドだけ」を使うユニリーバの戦略【前編】

大手消費財メーカーUnileverはクラウドサービスへの大掛かりなシステム移行を完了した。同社が採用したクラウドサービスは何か。クラウドサービスだけを使う狙いとは。

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 大手消費財メーカーUnilever(ユニリーバ)は、全システムのクラウド移行を2023年4月に完了し、クラウドサービスしか利用しない「クラウドオンリー」の企業に生まれ変わった。同社が採用したクラウドサービスは何か。クラウドサービスだけを使って何を目指すのか。

“あのクラウド”で完全脱オンプレミス その狙いは?

 Unileverは、今回のクラウド移行をITコンサルティング企業AccentureとMicrosoftと共同で実施した。移行作業は消費財業界の中でも特に大規模で複雑なものになり、開始から完了までの期間は18カ月に及んだ。

 オフプレミス(社外)にあるシステムやデータの大半を、UnileverはMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)で運用することにした。Unileverは従来、Googleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を利用してきたことで知られていた。GoogleとMicrosoftが共同でUnileverのサプライチェーンのサステナビリティ(持続可能性)と製品供給の強化方法を議論していたこともある。

 Microsoftでエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフコマーシャルオフィサーを務めるジャドソン・アルソフ氏は、「AzureはUnileverのシステムの基盤を担う」と説明する。

 Unileverはサプライヤーから顧客まで、エンドツーエンドでデジタル化を進め、迅速なイノベーションを実現する仕組みを事業全体に浸透させる狙いだ。例えば同社は、以下のような取り組みを例に挙げる。

  • 3次元(3D)仮想空間である「メタバース」を工場で活用
  • OpenAI製のAI(人工知能)モデルをAzureで使用できるサービス「Azure OpenAI Services」を活用した事業の効率化

 デジタル化の土台になるこうした取り組みはイノベーションや成長を加速するのに役立つだけでなく、事業の「レジリエンス」(回復力)を強化することにも役立つとUnileverはみている。

 Unileverは400種以上のブランドで消費財を提供しており、世界中の人がそれを使用している。同社は今回のクラウド移行プロジェクトを経て、よりアジャイル(俊敏)な組織に生まれ変わり、移り変わる消費者ニーズに応え、研究と開発のプロセスをスピードアップする狙いだ。


 後編は、クラウド移行がUnileverにもたらすメリットを解説する。

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