英国市議会の“ERP刷新”を拒んだ原因 「想定コストが4倍以上に……」:ERP刷新を決めた市議会の事例【後編】
英国バーミンガム市議会は、SAPのERPをOracleのクラウドERPに移行するプロジェクトに取り組んでいる。この移行作業は計画通りに進んでおらず、想定以上の時間やコストがかかっている状況だ。何が原因なのか。
英国のバーミンガム市議会は、1999年から使用してきたSAPのERP(統合業務システム)をOracleのクラウドERPに移行することを決断。2018年に、新しいERPへの移行作業に着手した。しかし移行作業には想定以上の時間やコストがかかり、計画は困難に直面している。何が問題になっているのか。
英国市議会の「ERP刷新」が難航した理由とは
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システムの刷新事例
地元紙Birmingham Mailのインタビューで、バーミンガム市議会のリーダーを務めるジョン・コットン氏は「Oracleのシステムが、納税者に1億ポンドの請求書を突き付けている」と話す。同市議会によると、システム移行の費用は、当初想定していた額の約4倍以上に当たる8000万ポンドから1億ポンドに及び、移行完了までには3年の遅延が発生する見込みだという。
バーミンガム市議会でデジタルおよびカスタマーサービス担当ディレクターを務めるピーター・ビショップ氏は、データ移行が大きな障壁となっていると指摘する。「大幅にカスタマイズされた大量のデータと、さまざまな連携システムが存在し、これらがプロジェクトの大きな課題となっている」(ビショップ氏)
想定以上の時間やコストが発生しているものの、バーミンガム市議会によれば現状は移行プロジェクトが順調に進行しつつある。まずはOracleのクラウドERPを最適な状態で導入し、移行プロジェクトの作業を安定させることに焦点を置いた計画を策定済みだという。
バーミンガム市議会はシステム移行に多額の追加投資が必要となったと認める一方で、次のように説明する。「OracleのクラウドERPが適切に機能し、財務と人材管理における役割を果たすことは、バーミンガム市議会にとって極めて重要だ」
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