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「メインフレーム」を捨てられない“企業の本音”とは 何が問題なのか?脱メインフレームの難しさ、どう解決?【前編】

金融系の組織を中心に、脱メインフレームの動きがあるが、その取り組みは必ずしもうまくいっていないと専門家は指摘する。脱メインフレームの障壁や、反対にメインフレームを使い続ける理由とは。

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API | 開発プロセス | メインフレーム


 「メインフレームを分散システム(複数のコンピュータが処理を分担するシステム)に移行するプロジェクトは難航しがちだ」。ソフトウェアベンダーRocket Softwareで、アジア太平洋地域担当のバイスプレジデントを務めるプラヴィーン・クマール氏はそう語る。「脱メインフレーム」の背景には、メインフレーム管理のスキル不足や管理コストの上昇がある。ただし脱メインフレームは、簡単ではない。どのような状況なのか。

「メインフレーム」を捨てられない企業の本音

 クマール氏によると、メインフレームを巡るスキル不足とコスト上昇は密に結び付いている。「社内の従業員のスキルが不足していれば、それを補うためのコストが必要になる他、市場全体のメインフレーム管理者不足を招く可能性がある」と同氏は説明する。

 銀行や保険会社をはじめ、厳しいシステム要件を持つ組織においては、中核システムとしてメインフレームを残しつつ、部分的なクラウド化に取り組む動きが起きている。「そうした組織は、レガシーと言われるメインフレームの処理能力と安定性を、現在も評価している」(クマール氏)

 米国では分散システムへの移行に際して、クラウドサービスが処理能力の面でメインフレームに追い付かないことが課題視されている。クマール氏は「特に、大量のデータ処理が必要な、大規模なトランザクション(一連の処理)を実行するためには、やはりメインフレームが一番だと考えている組織は珍しくない」と述べる。

 一方で、分散システムへの移行に成功し、大規模なトランザクションを含めて問題なく運用している銀行もあるという。ただしそのためには、大規模で強力なサーバ群を構築する必要があるので、「総コストはメインフレームとほぼ変わらない」とクマール氏は指摘する。


 中編は、Rocket Softwareによる支援を基に、メインフレームと他システムを連携させる場合のポイントを探る。

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