Zoomは「営業利益が大幅減」でも業績不振ではない?:パンデミック後のZoomの業績【前編】
Zoomが発表した2024年度第1四半期の業績によれば、GAAP(米国会計基準)での営業利益は95%減となったが、事業は必ずしも不振ではない。具体的に直近の業績を見てみよう。
Zoom Video Communications(以下、Zoom)の事業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)でテレワークが普及する中、急激に成長した。2023年現在、同社は好調な事業を維持しているのか。直近の業績を基に見てみよう。
Zoomの業績はまだ好調なのか?
Zoomの業績は、2023年4月30日に終了した2024年度第1四半期において、売上高が11億500万ドルで前年同期比3%増となった。エンタープライズ部門の売上高は6億3200万ドルで、前年同期比13%増だった。
GAAP(米国会計基準)の営業利益は、2023年度第1四半期が1億8710ドルだったのに対し、2024年度第1四半期は970万ドルにまで落ち込んだ。これは約95%の減少になる。以下の費用の調整があったためだ。
- 報酬として現金ではなく自社株を付与する株式報酬制度による費用
- 買収関連の費用
- リストラによる費用
- 訴訟和解金の費用
GAAPの数値から一時的な損益を除いた調整後の数値Non-GAAPの営業利益は、2023年度第1四半期が3億9960万ドルだったのに対し、2024年度第1四半期は4億2230万ドルで、前年同期から約6%増加した。純利益は、GAAPでは1540万ドル、Non-GAAPでは3億5330万ドルになった。
米国の上場企業の間では、GAAPによる財務諸表と、Non-GAAPによる財務諸表を公開する動きが広がっている。Non-GAAPの方が企業の実力をより正確に示すと考える投資家もいるため、GAAPが不調でも、Non-GAAPが好調なら株価は堅調になりやすい。
後編は、Zoomの創設者兼CEOのエリック・S・ユアン氏による現状の分析を紹介する。
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