検索
特集/連載

製造業が「プライベート5G」で“変化に強くなる”明白な理由「専用5G」は工場で使えるか【前編】

5Gをユーザー組織が運用できる「プライベート5G」は、製造業で新たなユースケースを生み出すと期待されている。プライベート5Gが何に役立つのかを検証する共同研究が始まった。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 「5G」(第5世代移動通信システム)をユーザー組織が自営網として扱う「プライベート5G」は、製造業における活用が期待されている。

 ソフトウェアベンダーのRockwell Automation、通信機器ベンダーのEricsson、半導体ベンダーのQualcomm Technologies、通信事業者のVerizon Communicationsは、プライベート5Gに関する共同研究を開始した。目的は、プライベート5Gによって実現可能なアプリケーションやユースケースの調査だ。なぜこの4社はプライベート5Gに期待を寄せるのか。

製造業に「プライベート5G」が必要な理由

 4社は、製造業は市場の変化に対処する必要があると考えている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)のさなか、工場は需要の変化に対処するために生産設備を再編成する必要があった。製造物をソーダから消毒液、衣料品から医療用マスク、自動車部品から人工呼吸器といった具合に切り替えなければならなかった。

 市場の変化に俊敏に対処できる工場を作るには、ネットワークが重要だ。工場内のネットワークには信頼性が要求されることから、従来は有線が主流だった。有線を5Gのような無線に置き換えることができれば、ケーブルの配線工事が不要になり、設備を変更しやすくなる。

 4社はプライベート5Gが「IIoT」(産業用モノのインターネット)にとって最適な選択肢の一つになると考えている。プライベート5Gは安全管理に必要な各種産業用センサーや、アクチュエータ(機器の動作を担う装置)を接続する役割を担える可能性があるからだ。

 IIoTにおいて、プライベート5Gで新たに可能になると期待されるユースケースは以下の通りだ。

  • 現場作業者のサポート
    • ウェアラブル端末やスマートフォン、タブレットなどを装着している現場作業者が、ネットワーク遅延を抑える必要があるアプリケーションを利用。例えば、現実の物体や物理現象をデータによってモデル化する「デジタルツイン」や「AR」(拡張現実)など
  • 自律型ロボットの制御
    • 自動運搬装置(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)といった自律型移動体の動作を制御することで安全性や俊敏性を改善。例えば人や障害物を自動で避けながら搬送経路を変更したり、複数のAGVやAMRが協調しながら運搬したりすることが可能

 後編は、プライベート5Gを利用するために4社が実施した実証実験の詳細を紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る