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金融機関が「インド発のクラウドサービス」を使う“なるほどの理由”銀行の「基幹システム刷新」に新たな動き【後編】

欧州の金融機関が基幹システムをクラウドサービスに移行する動きが加速している。利用するのはインドのITベンダーが提供するクラウドサービスだ。背景には何があるのか。

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 欧州の金融機関が、基幹システムをクラウドサービスに移行する動きは拡大する傾向にある。2023年6月、ベルギーの金融機関Keytrade Bankが基幹システムをクラウドサービスに移行すると発表した。同行が利用するのは、インドのITベンダーが提供するクラウドサービスだ。

金融機関がクラウド移行を加速させる理由

 金融機関が基幹システムをクラウドサービスに移行する場合、自組織で基幹システムを運用管理する場合と比べて、以下のようなメリットが見込める。

  • 老朽化したシステムの運用負荷軽減
  • システム障害の発生リスクの抑制
  • 運用管理や障害対応に伴うコストの削減

 Keytrade Bankのような中小規模の金融機関は、人材や資金などのリソースが豊富ではない事情を踏まえて、SaaS(Software as a Service)型の基幹システムに移行する傾向がある。Keytrade Bankが利用するのは、インドのITベンダーInfosysの子会社EdgeVerve Systems傘下のInfosys Finacleが提供するSaaSだ。

 インドのITベンダーが提供するクラウドサービスに基幹システムを移行する金融機関の動きは、今後広がる可能性がある。背景にある主な要因は、システムの運用管理に伴うコストを抑制しやすいことだ。

 スウェーデンの銀行Ikano Bankは2023年5月、インドのITコンサルティング企業Tata Consultancy Servicesが提供する金融機関向けSaasを使用することを発表した。目的は、同行の基幹システムをクラウドサービスに移行することだ。同行は欧州の複数の国で事業展開しており、各国の支店で異なる基幹システムを利用していた。各国の業務を標準化できていないことや、顧客応対の属人化といった課題が生じていたという。同行はSaaSの活用を通じて業務の標準を進める。

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