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PCIeの進化が生んだ「CXL 3.0」とは? 相互接続プロトコル「CXL」の新世代いずれ訪れるメモリとストレージの変化【前編】

相互接続プロトコルの「Compute Express Link」(CXL)の新世代「CXL 3.0」が2022年に登場した。CXLの影響が今後さらに広がる前に、CXLとCXL 3.0を理解しておこう。

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CPU | DRAM | ストレージ


 相互接続プロトコル「Compute Express Link」(CXL)は、メモリやCPU、周辺デバイスを接続するための規格だ。2022年に、その新世代である「CXL 3.0」が登場した。

 CXLは、システム全体の効率性を高めることを目的とした「ディスアグリゲーション」に使える技術だ。ディスアグリゲーションとは、簡単に言えばCPUやメモリなどのリソースの分割を意味する。一方でCXLは、「ネットワークに接続するストレージのより高速で高額な技術」だと捉えられることがあるが、それは正しい理解ではない。もう少し具体的に踏み込んでみよう。

そもそも「CXL」「CXL 3.0」とは?

 企業のIT管理者はCXLを使うことで、メモリのリソースをより自由にシステムに割り当て可能になる。データセンターが大規模になるほど、メモリのリソースをより効率的に使用したいというニーズが高まる。1台のサーバが持つメモリ容量よりも大きなメモリ容量をシステムに割り当てできれば、リソース配分の効率は高まる。その影響は今後、ストレージ分野にも波及する可能性を秘める。

 CXLを策定する業界団体CXL Consortiumによれば、CXL 3.0は前世代となる「CXL 2.0」の技術を拡張した規格だ。例えば以下の機能を強化することで、データ処理の流れをより最適化できるようにした。

  • スイッチング機能
    • 接続先を拡張
  • ファブリック
    • 複数のデバイスを同時接続
  • P2P(ピアツーピア)通信
    • デバイス同士が直接接続
  • メモリ共有
    • 複数のコンピューティング領域がメモリリソースを共有

 CXLの各世代の規格は、汎用(はんよう)インタフェース規格「PCI Express」(PCIe)の物理層(伝送路)で動作する。各世代の1レーン(通信経路)当たりのデータ転送速度は、世代が新しくなるたびに倍増しており、CXL 3.0の場合は毎秒64GT(ギガトランスファー)だ。

 全世代のCXLは、メモリのコヒーレンシ(複数メモリ間のデータの一貫性)を、レイテンシ(遅延)を増加させることなく維持できるように設計されている。CXL 3.0は、コヒーレンシを向上させる幾つかの機能を実装した。

 CXLはメモリのディスアグリゲーション技術なので、規格の世代が新しくなることによる変更は、主にメモリに関するものだ。CXL 2.0は複数のCPUが、複数のメモリ領域を利用するための機能を強化し、メモリのディスアグリゲーションを進展させた。CXL 3.0の特徴的な強化点は、複数のCPUが、コヒーレンシを気にすることなくメモリリソースを共有できるようにすることだ。


 中編は、CXL 3.0がストレージ分野にどのような影響を与えるのかを考察する。

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