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SSDからDRAMをなくすのが“正解”なこれだけの理由構造からSSDを考える【第3回】

企業のデータ保管を支えるストレージとして広く使われる「SSD」。その利用を最適にするために考慮すべきポイントが「DRAM」の存在だ。DRAMの有無で何が変わるのか。

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 SSDは、主にデータ読み書きに関する制御を担うメモリとして「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)を搭載しているのが一般的だ。「DRAMを搭載したSSDを選ぶのが望ましい」という考え方が主流だが、実はそうとは限らない。あえてSSDがDRAMを搭載しない利点は何なのか。

SSDを“DRAMなし”にすると正解になるさまざまな理由

 SSDにDRAMを搭載しない「DRAMレスSSD」は、本来はSSD内蔵のDRAMが担う処理を、ホスト(コンピュータ)のメモリの一部で置き換える「HMB」(Host Memory Buffer)という仕組みを利用する。

 DRAMレスSSDは、DRAM搭載のSSDと比べると、部品の製造コストと消費電力が低くなる傾向にある。ただし実際にはSSDがDRAMを搭載せずに済むだけであり、SSDはホストのDRAMを代わりに使用することになるため、ホストの消費電力は増加する可能性がある。

 とはいえ、部品のコストが減るメリットは間違いなくある。仮に、企業向けSSDが約20〜100ドル相当のDRAMを搭載しているとすれば、DRAMレスSSDはその分がなくなる。浮いたコストはSSDの価格にも反映されると期待できる。

 DRAMレスSSDのメリットは価格だけではない。検索エンジンを手掛けるBaiduは、DRAMレスSSDにすることで、アプリケーションの処理速度や応答速度といったパフォーマンスが改善する利点を見いだした。HMBにすることでホストの挙動に合わせてSSDを制御できるため、動作の無駄をなくしやすいからだ。ただしその利点を得るには、アプリケーションのチューニングが必要になる。

 チューニングにおいて必要なのは、ホストがSSD内部のアーキテクチャを理解し、I/O(入出力)のリクエストをNAND型フラッシュメモリの最新のステータスに同期させることだ。そうすることで、例えばNAND型フラッシュメモリの一部が何らかの処理で込み合っている場合、アプリケーションはNAND型フラッシュメモリの別の領域を使用するタスクに切り替えることができる。

 HMBにすることで、不要なデータを削除して空き容量を増やす「ガベージコレクション」の処理においても利点がある。SSDが最適なタイミングを推測してガベージコレクションを実行するのではなく、ユーザー企業がホストのコマンドで実行できるようになるからだ。


 第4回は、SSDをDRAMレスにする際の注意点や、どのような組織により有効なのかを解説する。

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