人材採用やM&Aの“ミスマッチ”を回避するシンプルな思考方法:企業文化の維持と企業規模の拡大【第4回】
人材採用やM&Aによって事業の成長を企業規模の拡大を進める際に考慮すべきなのが、従来の企業文化に与える影響だ。企業規模を拡大し、事業を成長させる上で必要になる検討事項とは。
人材採用やM&A(合併と買収)、上場などはいずれも、企業規模を拡大し、事業を成長させる上で重要になる。こうした取り組みを進めるに当たって考慮しなければならないのが、従来の企業文化をいかに維持するか、あるいは新たな企業文化をいかに形成するかだ。取り組みを進める上で着目すべきポイントを説明する。
「人材採用」や「M&A」の失敗を避ける
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連載:企業文化の維持と企業規模の拡大
- 第1回:なぜ“成長期”の企業こそ「企業文化」を考えるべきなのか
- 第2回:「うちの会社らしさ」って具体的には何? 企業文化を育てる3要素
- 第3回:「退職希望者を引き留めるべきか否か」を正しく判断する方法
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採用活動では、以下の要件を明確に設定しておくことが重要だ。これは企業と入社志望者のミスマッチを防ぎ、入社志望者が入社後にうまく活躍することにつながる。
- ハードスキル
- 業務遂行のための専門知識など、教育や訓練によって獲得するスキル
- ソフトスキル
- コミュニケーション力やリーダーシップなど個人の特性に関するスキル
全従業員が研修教材を利用できる仕組みを整え、企業文化や、企業としてのバリューの定着を図ることも必要になる。バリューとは、価値観や行動指針のことだ。筆者が在籍するITコンサルティング企業Nash Squaredは、従業員研修と福利厚生に関するシステムを作成した。全従業員がつながり、チームの一員であり続けてもらうための役割を、このシステムが果たしている。
M&Aなど、社外の経営資源を獲得する戦略によって事業を拡大する「外部成長」についても考えよう。買収先を決定する際、買収先の事業が自社の企業文化と調和するかどうかは重要な要素だ。調和する見通しが立たなければ、買収で生まれる価値よりも、失う価値の方が多くなる可能性がある。ビジネスの歴史においては、企業文化の不一致で挫折したM&Aの事例は珍しくない。
企業文化の形成を図りつつ、企業の規模を拡大する上でもう一つ検討すべきなのが、投資家による支援や株式の上場だ。このような取り組みも社内の企業文化に影響を及ぼす可能性があるため、その取り組みについて従業員と丁寧にコミュニケーションを取ることが重要になる。
第5回は、事業規模の拡大を目指す企業が、企業文化を維持しながら成長するために心に留めておくべき3つのアドバイスを紹介する。
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