スマホを無線LANのAPにする「テザリング」とは? いまさら聞けないその仕組み:テザリングの基礎とトラブルシューティング【第1回】
オフィス外など固定回線を利用できない場合に、PCでインターネットを使えるようにする手段として有効なのが、スマートフォンの「テザリング」だ。テザリングの仕組みや、役立つ用途をあらためて整理しよう。
PCを使ってテレワークをする際に欠かせないのが、インターネットに接続するための回線だ。固定回線が利用できない場合、スマートフォンのモバイル回線を使ってインターネットに接続する「テザリング」が役立つ。スマートフォンの普及により、テザリングの利用も広がった。ただしテザリングに関する正しい理解が広がっているかというと、そうとは限らないのが現状だ。そもそもテザリングとは、どのような機能なのか。その仕組みや用途とは。テザリングの基礎知識をあらためて整理しよう。
そもそも「テザリング」の仕組みとは?
GoogleのモバイルOS「Android」を搭載する主要なスマートフォンや、Appleのスマートフォン「iPhone」は、テザリングを有効化することが可能だ。テザリングには、幾つかのタイプがある。最も一般的なタイプである「無線LANテザリング」は、スマートフォンを無線LANアクセスポイント(AP)として機能させる。
無線LANテザリングを有効にしたスマートフォンは、近くにあるデバイスに対して、APとして接続するためのSSID(APを識別するための名前)をブロードキャスト(一斉送信)する。近くにあるデバイスは、AP化したスマートフォンに接続。そのスマートフォンのモバイル回線経由でインターネットに接続できるようになる。
スマートフォンと各デバイスとの接続にどのような技術を使うかによって、テザリングのタイプが異なる。無線LANテザリングの他には、例えば近距離無線通信技術のBluetoothを使った「Bluetoothテザリング」、USBを使った「USBテザリング」がある。
テザリングが役立つ“あの用途”
外出先で安全なインターネット接続手段が確保できない場合、特にテザリングが有用だ。オフィス内でも、既存APのカバー範囲が十分ではない場合に、一時的な対処の手段としてテザリングを利用できる。
モバイル回線事業者の一部が提供する「閉域接続サービス」を併用することで、従業員は社内LANに安全にアクセスするための手段として、テザリングを利用できるようになる。閉域接続サービスは、インターネットに接続せず、モバイル回線事業者の通信網とユーザー企業の社内LANを直接接続するサービスだ。
閉域接続サービスを利用すると、オフィス外にいる従業員は、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用することなく、社内LANへの安全なアクセスが可能になる。これはVPN廃止によるVPNコストの削減につながる。
次回は引き続き、テザリングの基本的な知識を整理する。
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