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人種差別を撲滅する「ゼロトレランス」とは? IT業界の管理者は何をすべきかIT業界でD&Iが進まない理由【第6回】

多様な背景を持つ従業員を受け入れるに当たって、重要な役割を担うのは管理職だ。人材を公正に育成するために、企業は人材管理においてどのようなポリシーを定めるべきか。

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 人事アドバイザリー企業HR rewiredの創設者兼マネージングディレクターであるシェリーン・ダニエルズ氏は、エスニックマイノリティー(地域や社会における少数民族)が直面する差別問題の改善に向けて活動している。「経営層や管理職は、企業内には避けようのない問題が存在することをまず認める必要がある」と主張する。エスニックマイノリティーに対する差別解消に向けて、企業は具体的に何をすべきなのか。

人種差別を絶対に許さない、「ゼロトレランス」の仕組みづくり

 エスニックマイノリティーが直面している問題を、人事部門やダイバーシティー(多様性)関連部署に任せっきりにしてはいけない。自部門において対処する必要がある、と認識することが重要だ。特に重要な役割を担うのは、部門ごとのリーダーやマネジャーだ。

 具体的なプロセスについてダニエルズ氏は、「人種差別を深刻に受け止め、『ゼロトレランス』(わずかな違反も見逃さず、細部まで罰則を定め、違反した場合は厳密に処分すること)のポリシーを示す必要がある」と説明する。ただし、もしマネジャーが人種差別について従業員と話すことさえしないのであれば、人種差別に対して何か行動を起こすことはできない。「企業には、自社が望む行動と望まない行動を明確に定義する勇気が必要だ。包摂性を確保するためには、従業員の業績を評価する際に、管理職に説明責任を持たせる方法を考えなければならない」(ダニエルズ氏)

 ITコンサルティング企業Avanadeのチーフダイバーシティーオフィサーであるハラム・サージェント氏は、「従業員の今までの人生を理解することが重要だ」と語る。この主張の裏にあるのは、「人はそれぞれ異なる背景を持っている」という事実だ。全員を同じように扱っていては、決してうまくいかない。「人材管理の仕組みを円滑に機能させるためには、『差別を乗り越える』という難しい話から逃げないことが重要だ。これは成長に必要なマインドセットの一部だ」(サージェント氏)


 第7回は、エスニックマイノリティーのように「企業内で立場の弱い人」を支えるのに有効なメンター制度について解説する。

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