OSSらしくない「Linuxディストリビューションの矛盾」とは:CEO単独インタビュー「新生SUSEが狙うもの」【第1回】
LinuxベンダーSUSEはアジアで攻勢を掛ける。同社が事業拡大のチャンスとして見るのは競合Red Hatが打ち出した“ある動き”だ。SUSEの新CEOは何を考えているのか。
2023年に入って経営体制を一新し、アジア太平洋地域(APAC)を中心に事業拡大に取り組んでいるSUSE。同社はOS「Linux」の企業向けディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーとして、オープンソースソフトウェア(OSS)分野でRed Hatの対抗馬になる企業の一つだ。
SUSEは2023年7月11日(欧州時間、以下同じ)、約1000万ドルを投資し、Red Hatが開発している企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)の互換ディストリビューション(代替製品)を開発すると発表した。これはRHELのソースコードについて、Red Hatが下した“ある決断”を受けたものだ。SUSEは、何を目指しているのか。
OSSなのにあり得ない? SUSEが見る「Red Hatの矛盾」とは
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2023年5月1日付で、ダークピーター・ファン・レーベン氏がSUSEのCEO(最高経営責任者)に就任した。同氏は前職でRed HatのAPAC事業を統括していたため、競合から抜てきされた形だ。ファン・レーベン氏はこのほど、シンガポールで英Computer Weeklyの単独取材に応じた。RHELを巡るRed Hatの取り組みを念頭に、「OSSベンダーはOSSのソースコードや知的財産を競争に使うべきではない」と語った。
Red Hatは、RHELのソースコードへのアクセスを同社ユーザー企業に限定することを決めた。その理由は、リビルダー(再構築企業)が付加価値を付けず、単にRHELを複製することを防ぐためだとみられる。ソースコードへのアクセスを限定することについて、ファン・レーベン氏は「OSSの基本的な考えと矛盾している」と指摘する。
ファン・レーベン氏はSUSEのCTO(最高技術責任者)のトーマス・ディ・ジャコモ氏、APAC担当ゼネラルマネジャーのジョセップ・ガルシア氏と共に、SUSEの最近の動きを説明。APACをはじめとした地域での事業拡大に意欲を示した。本連載の第2回以降で、インタビュー全文をお届けする。
第2回は、ファン・レーベン氏に事業拡大に向けた具体策を聞く。
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