マネージドWi-Fi「OMWi」はなぜ“使えない無線LAN”なのか?:オペレーターマネージドWi-Fiの未来【前編】
企業やエンドユーザーにとって欠かせない存在となっているWi-Fi。通信事業者がマネージドサービスとしてWi-Fiを提供する場合には課題がある。業界団体が改善に乗り出した。
無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は、無線LANの標準規格群「IEEE 802.11」について、データの収集から管理、設定を最適化するための新しい指針を提唱した。背景には、業界団体Wi-Fi AllianceがIEEE 802.11の仕様を基に認証するブランドである「Wi-Fi」について、企業やエンドユーザーの“ある要望”が強くなり続けていることがある。
マネージドWi-Fi「OMWi」が使えない理由 ユーザーが求めているものは?
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WBAの分析によれば、企業やエンドユーザーは、ほとんど設定作業を必要とせずに動作する、信頼できるWi-FiのネットワークおよびWi-Fiの機器を期待している。
そこで登場したのが、Wi-Fiのネットワークや機器を通信事業者(オペレーター)が管理する「オペレーターマネージドWi-Fi」(以下、OMWi)だ。WBAによれば、市場にはOMWiのサービスが複数存在している。ただしその動作や運用方法は統一されておらず、通信事業者ごとに以下の項目が異なる。
- ネットワークの状態やネットワーク機器に関するデータ収集
- 遠隔からネットワークやネットワーク機器を管理する仕組み
- 「CPE」(宅内設置機器)と外部のデータ通信
- 網目のようにネットワークの経路を組む「メッシュネットワーク」の形成方法
- トラブルシューティング
これらの仕組みが統一されていないため、OMWiは相互運用が不可能なサービスになってしまっている。その結果、通信事業者は企業やエンドユーザーの要望に応えるため、さまざまな技術や標準規格を使いこなすための人的リソースが膨れ上がっている。
こうした状況を受けて、WBAは通信事業者向けの技術レポート「Operator Managed Wi-Fi:Reference Architecture and Requirements」を2023年5月に発表した。このレポートはOMWiにおける推奨事項を整理したドキュメントであるレファレンスアーキテクチャとなっている。
中編は、WBAの作成したレファレンスアーキテクチャが現状の課題をいかに解決するかを解説する。
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