同じWi-Fiでも「企業向けの無線LAN」が家庭用と同じではない理由:企業向けWi-Fiのヒント【第1回】
企業向け無線LANを適切に構築するには、幾つかの注意点がある。無線LANアクセスポイントを約7000台見てきたコンサルタントが、企業向け無線LANを適切に構築するためのヒントを紹介する。
「Wi-Fi」は無線LAN規格「IEEE 802.11」に基づくブランドだ。Wi-Fiの製品で構築する無線LANをエンドユーザーが使用する際は、複雑な操作をほとんど必要としない。一方で使用するのが同じくWi-Fiであっても、企業向け無線LANの構築には設計やトラブルシューティングのための専門知識が必要になる。
筆者は企業ネットワークのコンサルティングをなりわいとする中で、約7000台の無線LANアクセスポイント(AP)を見てきた。そのうち約3分の1に不備があり、機能を十分に活用できていなかった。企業向け無線LANを構築する際のヒントについて、家庭用とはどのような違いがあるのかを踏まえて紹介する。
「企業向けの無線LAN」は家庭用とは根本的にどう違うのか?
企業向け無線LANが家庭用と違う点は、複数台のAPと、各APを制御する無線LANコントローラーを使用するのが一般的であることだ。無線LANコントローラーは各APの以下のような項目を制御する。
- 電波の強度
- チャネル(データ送受信用の周波数帯)
- ローミング(異なるネットワークへ接続を切り替えること)
企業向け無線LANをうまく構築できている場合、例えば従業員が会議室に入るなどオフィス内で移動したときでも接続をシームレスに維持できる。病院の無線LANなら、施設内を頻繁に移動する従業員に安定した接続を提供するとともに、入院患者や来訪する家族にはゲスト用のネットワークを提供することになる。個人情報を保護するセキュリティ機能を備えていることも重要だ。
近年は、無線LANによって端末の位置を測定する機能を実装する製品も出てきている。この機能は、例えば病院内にあるX線撮影装置のような機器や、エンジン部品などの位置情報を追跡したい場合に使える。対象の機器や部品に小型の無線LAN接続デバイスを取り付けることで、位置を追跡できる。緊急時には、従業員が所有する端末からその従業員の居場所を確認することができる。
第2回は、無線LANとはそもそもどのような仕組みなのかを解説する。
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