クラウドでもSDNでもなく「新時代のネットワーク」に不可欠なのは“あの要素”:新時代のネットワーク像【前編】
ネットワークの主要テーマと言えば、以前は仮想化やSDNが主流だった。しかしユーザーは新たなテーマへの関心を強めつつある。ユーザーコミュニティーであるONUGが指摘する新たなテーマとは。
数年前までネットワークの主要テーマと言えば、クラウドサービスでのネットワーク機能の統合、仮想化、SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)などだった。2023年のテーマは違う。ネットワークのオープン化を目指すユーザーコミュニティー「ONUG」(Open Networking User Group)主催のカンファレンス「ONUG Fall 2023」で、ONUGの共同設立者のニック・リピス氏は、「ネットワークは新しい時代に入った」と語った。ここ数年でネットワークは何が変わったのか。
新たな時代のネットワーク像とは
リピス氏は、現在のネットワークは機能が詰め込まれて複雑化していると指摘する。その結果、ネットワーク管理の新たなモデルが必要となっている。具体的には、組織内でネットワークとセキュリティをより調和させ、統合する必要があるという。
ONUGが276人のIT専門家を対象にアンケートを実施した結果、35%がネットワーク運用センターとセキュリティ運用センターを、1つのインシデント対応センターとして統合していると回答した。10%はすでにネットワーク運用とセキュリティ運用のチームを統合していると回答した。
リピス氏は、ネットワークとセキュリティを統合するメリットとして、「データの管理がより効率的になる」と述べる。データを包括的に管理できれば、ネットワークとセキュリティの状況を詳細に可視化し、洞察を得ることができる。そのため、インシデントの発生を抑えることができる他、新しい技術を導入しやすくなるという。
今後、組織は「DX」(デジタルトランスフォーメーション)の目的であれ、複雑な管理を簡素化する目的であれ、ネットワークとセキュリティの統合を進める必要がある。ネットワークとセキュリティの境界は曖昧になっていくだろう。
後編は実際にネットワークとセキュリティの統合に取り組んだ製薬会社GSK(グラクソ・スミスクライン)の事例を紹介する。
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