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オフィス回帰が本格化する前に考えたい、「長距離通勤」の光と影:長距離通勤を有意義な時間にするためのヒント【中編】
勤務先の所在地までの距離を考慮せずに、望んだ場所で暮らしながら働けるのが長距離通勤の強みだ。その選択にはさまざまなメリットがあるが、無視できないデメリットもある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)後、オフィス回帰を促す企業の動きを受けて注目を集めているのが、従業員の長距離通勤だ。
勤務地までの距離を問わずに従業員が居住地を選択できるという点で、長距離通勤のスタイルは従業員にも雇用主にもメリットがある。ただし長距離通勤には、人生設計に影響を及ぼしかねないデメリットもある。メリットとデメリットの具体例は。
長距離通勤のメリットとは
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連載:長距離通勤を有意義な時間にするためのヒント
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従業員が長距離通勤を選択する主なメリットは下記がある。長距離通勤者を雇用する企業にとっては、オフィススペースや管理費の削減、通勤距離を問わずに多様な人材を雇用する機会が得られること、などのメリットが期待できる。
- 生活費の節約
- 大都市圏から離れた場所に暮らすことで、家賃や税金などの出費を節約できる
- ワークライフバランスの向上
- テレワークと出社を組み合わせることで、柔軟な働き方を獲得できる
- 雇用機会の増加
- 大都市圏に本社を置く企業で働く選択肢が生まれる
- 環境負荷の低減
- 自家用車ではなく公共交通機関を利用することで、大都市圏の交通渋滞や大気汚染の軽減につながる
- 多様な文化や考え方への接触
- さまざまな居住地から従業員が集まるため、さまざまな文化や考え方に触れることで視野を広げることができる
長距離通勤のデメリット
一方で、長距離通勤には以下のような落とし穴も潜んでいる。
- 移動時間の長さ
- 長い移動時間により、肉体的にも精神的にも消耗しやすい
- 睡眠サイクルの乱れ
- 移動予定に合わせて朝早く起きたり、夜遅くまで起きていたりすることが必要になった場合、睡眠不足になる可能性がある
- ストレスレベルの上昇
- 交通渋滞や飛行機の遅延のような、予測不可能な事態に遭遇してストレスにさらされる機会が増える可能性がある
- 孤独感の増大
- 移動時間の長さに比例して家族や友人と過ごす時間が減り、社会的な孤立や孤独感の増大につながる可能性がある
- 生産性の低下
- 移動で生じる疲労は生産性に影響する。予期せぬ事態で生じたスケジュールの変化によって、重要な会議やイベントを欠席せざるを得なくなる場合がある
- 長距離通勤をしなければ発生しないはずのコストの発生
- 交通費や宿泊費、その他の費用が発生する場合がある
- 昇進する機会が遠のく
- 企業によっては、通勤時間が長く業務への長時間の貢献が難しいと判断される従業員に対して、昇進の機会を与えない可能性がある
後編は、長距離通勤者を雇用している企業が検討すべき方策を紹介する。
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