「レイオフはむしろお得」がうそでも皮肉でもない“解雇の真実”だった:大量解雇時代のキャリア論【前編】
「レイオフ」や「解雇」と聞いて気持ちが暗くなっていてはいけない。むしろレイオフは、解雇される人にとっては喜んでいい出来事だ。それはなぜなのか。解雇とキャリアの真実とは。
レイオフ(一時解雇)を言い渡されてショックを受けるのは、感情面を考慮すればおかしなことではない。これからの生活のことを考えて不安になったり、社会人としての自信を喪失したりする人はいる。だが解雇の条件や、解雇される人のキャリアについて冷静に考えると、そうした反応は間違っているとしか言えない。それはなぜなのか。
レイオフはなぜ残留よりも“お得”な出来事なのか
キャリアアンドライフコーチのアリソン・タスク氏は、レイオフされたエンジニアに対して「おめでとう」と祝福の言葉を伝える。「早い段階でレイオフされるのは素晴らしいことだ」とタスク氏は言う。その理由の一つは、レイオフで支払われる手当が高額であること。会社に残留する従業員は、同程度の給料で2人分の仕事を担うことになる。それに対してレイオフされた人は、手当を得ているので次の仕事を急いで探さなくてもよい。
一般的にレイオフとは企業側の問題であるため、従業員側の問題だとは捉えない方がいい。企業は経営が悪化したり、市場の変化に合わせて事業方針を転換したりする場合にレイオフを実施する。「レイオフされた人のスキルが劣っているわけではない。企業は今すぐ従業員数を減らす必要があり、その対象としてたまたまその人を選ぶだけだ」とタスク氏は言う。
女性向けキャリアコンサルタント会社InspiHER Techの創設者兼CEOであるローリー・スワンソン氏は、ソフトウェア開発者として働いていた時にレイオフを経験した。それを振り返って「人生で最も幸福な時間だった」とスワン氏は話す。その理由は、「勤務先の何が嫌だったのか」「本当にやりたい仕事は何か」「二度とやりたくない仕事は何か」を考えることができたからだ。ソフトウェア開発者としてのスワンソン氏の仕事は、そもそもうまくいっていなかった。
スワンソン氏は自分のスキルや長所、短所をまとめていくうちに、人をまとめたりチームを管理したりするのが自分の得意なことだということに気付いた。その経験を基に、同氏はキャリアコンサルタントとして人を指導することに専念している。
中編は、レイオフを言い渡されたときにまず何をしたらよいのかを整理する。
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