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企業向けLinuxディストリビューション「RHEL」「SUSE」は何が違う?RHELとSLESの違い【前編】

主要な「Linux」ディストリビューションとして、Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と、SUSEの「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)がある。稼働するアーキテクチャや関連サービスの違いとは。

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Linux | Red Hat Enterprise Linux | SUSE | OS


 Red HatとSUSEは、企業向けの「Linux」ディストリビューション(配布パッケージ)を提供するベンダーだ。Red Hatは「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)、SUSEは「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)を提供している。Linuxディストリビューションには共通のコマンド、フォルダ(Linux分野では「ディレクトリ」とも)構造、基本機能がある。その一方で、パッケージ管理ツール、コマンド、プリインストールソフトウェアなどに違いがある。それぞれのディストリビューションと、両社が提供する周辺ツールおよびサービスを、複数の観点から解説しよう。

違い1.動作可能なハードウェアアーキテクチャ

 Linuxディストリビューションを選ぶ際は、企業が運用しているデバイスで動作するかどうかは重要な要素だ。この観点は、IoT(モノのインターネット)、データセンター、組み込みシステムで特別なハードウェアを使用する可能性がある場合、特に重要になる。

 RHELのバージョン9は、以下のアーキテクチャで動作可能だ。

  • AMD(Advanced Micro Devices)またはIntel製の64bitのCPU
  • Armアーキテクチャベースの64bitのCPU
  • IBMのサーバ「IBM Power Systems」(リトルエンディアン方式)
    • リトルエンディアン方式は、メモリのデータ格納方式の一つ。
  • IBMのメインフレーム「IBM Z」(64bit版)

 SLESのバージョン15は、以下のアーキテクチャで動作可能だ。

  • AMDまたはIntel製の64bitのCPU
  • Armアーキテクチャベースの64bitのCPU
    • シングルボードコンピュータ(最低限の要素から成るコンピュータ)の「Raspberry Pi」を含む。
  • IBM Power System(リトルエンディアン方式)
  • IBM Z(64bit版)
  • IBMのLinuxサーバ「IBM LinuxOne」

違い2.サブスクリプションサービスとサポート

 Red HatとSUSEはどちらも、サポートサービスを含むサブスクリプション形式でLinuディストリビューションを提供している。追加特典として、各ディストリビューションに関するトレーニングも利用可能だ。

RHELのサブスクリプション

 Red HatによるRHELのサブスクリプションは、2種類の期間(1年または3年)があり、3種類のサポートプラン(プレミアム、スタンダード、セルフサポート)を選択できる。プレミアムとスタンダードは、Red Hatの技術サポートサービスを利用可能だ。セルフサポートでは技術サポートを利用できない。RHELユーザー用のポータルサイトや、RHELを実行しているシステムの分析ツール「Red Hat Insights」、インフラ管理ツール「Red Hat Satellite」などの追加サービスもある。

 サポートプラン別の価格は、1年分の場合プレミアムが年間1428.9ドル、スタンダードが年間878.9ドル、セルフサポートが年間383.9ドルだ(2024年5月時点)。プレミアムには、Red Hatが定める問題の重大度が1または2の問題に対する24時間365日のサポートと、重大度が3または4の問題に対する営業時間内のサポートが付属する。スタンダードでは、重大度が3または4の問題に対する営業時間内のサポートが利用できる。

SLESのサブスクリプション

 SUSEが提供するサブスクリプションには、1、3、5年の3つの期間がある。セキュリティアップデートや製品アップグレード、テクニカルサポートといったサービスが含まれ、使用するソケット数や仮想マシン(VM)数によって価格が異なる。

 サポートレベルはスタンダードとプライオリティーの2種類だ。応対時間はスタンダードが平日1日のうち12時間、プライオリティーが24時間365日となっている。


 次回は、トレーニングおよび認定資格の違いを取り上げる。

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