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ストレージ容量不足に悩んだ音楽業界団体が「Pure Storage」を選択した理由ラックスペースとエネルギーコストを大幅削減

スイスの音楽著作権共同組合SUISAはストレージの容量不足に陥り、Pure Storageのオールフラッシュストレージに移行した。なぜPure Storageの製品を選び、どのような成果を得ているのか。

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 スイスに拠点を置く音楽著作権共同組合のSUISAは、作曲家やアーティスト、出版社に印税を支払うため、4万人以上のミュージシャンを代表してさまざまな演奏情報を収集している。2023年には、音楽配信サービス「Spotify」に加え、テレビやラジオ、コンサートやクラブでの演奏情報も収集し、支払いを実施した。

 大量の情報を取り扱うSUISAは、ストレージの管理に苦労していたが、Dell EMCのオールフラッシュストレージ「XtremIO」からPure Storageのオールフラッシュストレージ「FlashArray」シリーズに移行することで乗り越えた。SUISAはなぜPure Storageのストレージを選択したのか。

SUISAが「Pure Storageのオールフラッシュ」を選んだ理由とは

 SUISAはPure Storageのオールフラッシュストレージを導入したことで、データセンターのラックスペースの占有面積を約半分に縮小させ、電気代をはじめとするエネルギーコストを約50%削減した。ストレージの容量不足を解消し、管理作業も簡易化できた。例えば、新しい容量のプロビジョニング(配置)やハードウェアのアップグレードを簡単にできるようになっている。

 SUISAは2014年まではHDDベースのストレージに依存していたが、同年にXtremIOに移行した。XtremIOは当時、先駆的なストレージだったが、SUISAは管理の複雑さに直面した他、約3年で容量が限界に達した。

 SUISAのシステム技術責任者であるハンスルディ・ユング氏は、「管理と拡張の複雑さ、ストレージ追加のための人材確保に苦労した。費用や人的コストがかかり、新しいボリューム(記憶領域の単位)の導入が難しく、システムを停止しなければならない場合もあった」と述べている。

 2017年、SUISAはXtremIOに代わり、Pure Storageのオールフラッシュストレージに注目した。Pure Storageの「FlashArray//M」と「FlashArray//X」を導入。さらに従来製品と比べてコストパフォーマンスが高い「FlashArray//C」も導入した。現在は6U(ユニット)で3台のストレージアレイを使用し、約300TBの容量を確保している。以前のDell EMCのストレージと比べるとラックスペースは縮小し、エネルギーコストも削減できたという。

 SUISAは、Pure Storageのサブスクリプションサービス「Evergreen//Forever」を利用している。このサブスクリプションサービスは、ユーザー企業がハードウェアを一括で購入し、その後は継続的にアップグレード費用を支払う仕組みだ。SUISAは当初、FlashArray//Mを導入し、2023年にFlashArray//Xにアップグレードした。

 「当社は独自のデータセンターを持ち、最新技術でアップグレードされるシステムに投資している。適切なシステムに投資すれば、それを自社で所有することで得られるメリットがある」と、ユング氏は述べる。

 ユング氏によると、Pure Storageへの移行の主な理由の一つは、以前のインフラよりも保守しやすい点だ。「ストレージ担当者が実施する設定作業はほとんどなく、新しい担当者でも容易に作業できる」(同氏)

 SUISAのデータセンターサービスチームリーダーのルーカス・カウフ氏は、同社が使用しているデータベースを迅速に復旧できるようになったことがメリットだと述べる。「以前は約6時間かかっていたデータベースの復旧が、数秒で可能になった」(カウフ氏)。同氏はPure Storageの重複排除機能によって、データ量の大幅な削減効果も実感できていると付け加える。

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