「出社×テレワーク」で社員が辞める――その納得するしかない理由:こんな働き方は嫌われる
オフィスワークとテレワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」が働き方の一形態として定着した一方、ハイブリッドワークに対する不満が噴出している。ハイブリッドワークがうまくいかない要因は何なのか。
働き方の形態の一つとして定着した「ハイブリッドワーク」(オフィスワークとテレワークの組み合わせ)に対して、不満が噴出している。ソフトウェアベンダーLucid Softwareが発表した調査結果によると、ハイブリッドワークへの不満から退職を検討している従業員が一定割合で存在する。ハイブリッドワークがうまくいかなくなる要因は何なのか。
なぜ「出社×テレワーク」で社員が辞めるのか
今回の調査は、2024年4月にLucid Softwareの委託を受け、調査会社Researchscapeがナレッジワーカー約2500人を対象に実施した。
この調査によると、74%の企業が2020〜2024年の過去4年間にハイブリッドワークの方針を少なくとも1回変更していた。Lucid Softwareは企業に対して、ナレッジワーカーが効果的にコミュニケーションを実施するのに必要なデジタルツールや業務手順を積極的に提供することを推奨する。
英国での状況に注目すると、過去4年間でハイブリッドワークが広く普及したにもかかわらず、企業はハイブリッドワークの効果が不十分だと感じている。例えば、ブレーンストーミングやキックオフセッションで次に取るべきステップを明確に理解できなかったという回答や、チーム内での仕事の担当が不明確だという回答が目立った。コラボレーションツールを導入済み、あるいは従業員にコラボレーションのトレーニングを実施している英国企業は限られていた。ハイブリッドワークに対する経営者の方針を理由に、一部のナレッジワーカーは退職を考えるようになったという。
Lucid Softwareによると、今回の調査は、ナレッジワーカーがハイブリッドワークでチームとして働くために必要なデジタルツールが整っていないことを示すものだ。調査対象者のうち73%が、コラボレーションにとっては視覚化が重要または非常に重要だと回答した。しかし一部の企業は、視覚化のためのデジタルツールを十分に導入できていない。
調査会社Gartnerは、2024年の全世界におけるIT支出が、2023年と比べて6.8%増加すると見込む。一方でLucid Softwareは企業に対して、「従業員が利用しない技術に無駄な支出をしないようにする必要がある」と注意を促す。企業の幹部は生産性を高める目的で技術に投資することに意欲を注ぐ傾向がある。その結果として、仕事を遂行するために複数のアプリケーションを使わざるを得ない状況が生じる。
今回の調査では、生産性向上のためにアプリケーションを3つ、もしくは4つ使用している英国のナレッジワーカーは、新入社員や管理職、経営幹部など幅広いポジションで見られた。その一方で、ハイブリッドワークにおけるコラボレーションのトレーニングを受けているナレッジワーカーは一部に過ぎない。Lucid Softwareは企業が購入するデジタルツールと、ナレッジワーカーが望むツールの間にギャップが生まれるのは当然だと指摘する。そのギャップが、「ハイブリッドワークに必要なアプリケーションを十分に利用できていない」という考えを従業員にもたらしている。Lucid Softwareは、英国のナレッジワーカーは、職場で利用するアプリケーションの種類の多さに圧倒され、それが不満につながっているとも報告した。
Lucid Softwareで製品管理担当のバイスプレジデントを務めるジャロム・チョン氏は今回の調査結果を受け、企業に次の行動を促す。
- 自社の技術スタックを目的に沿って評価すること
- ナレッジワーカーの勤務場所によらず、チームとして効果的に連携できることに重点を置くこと
「企業は従業員に対して、ハイブリッドワークに必要なデジタルツールと、それを活用するためのトレーニングを適切に提供しているとは言い難い」とチョン氏は話す。特にハイブリッドワークでは、効果的な視覚化をもたらすコラボレーションツールは「ぜいたく品」ではなく「必需品」だと捉えるべきだと同氏は強調する。
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