「ハイブリッド会議」が嫌われるしかない残念な理由:残念なハイブリッド会議4選【中編】
会議室の参加者とリモートでの参加者が混在する「ハイブリッド会議」では、起こりやすい問題が幾つかある。ハイブリッドワークはなぜ嫌われてしまう可能性があるのか。
会議室でもリモートでも参加できる「ハイブリッド会議」が広がっているが、参加者が必ずしもハイブリッド会議を好意的に受け入れているわけではない。コミュニケーション研修を提供するSpeaker DynamicsのCEOであるカリン・リード氏が遭遇したハイブリッド会議の失敗例を基に、ハイブリッド会議で発生しがちな問題4つのうち、2つ目と3つ目を紹介する。
ハイブリッド会議の問題、その2
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連載:残念なハイブリッド会議4選
快適なWeb会議を実施するために
会議中の議題や質問、発言を共有する方法がハイブリッド会議における不満の原因になりやすい。例えば会議室内の参加者が会議室のホワイトボードを使ってブレーンストーミングを実施する際に、その様子がカメラに映っていなければ、リモートでの参加者は状況を把握するのが難しくなる。
一方で、リモートでの参加者がオンラインホワイトボードを使ってブレーンストーミングをしたり、チャット機能を使ってコミュニケーションを取ったりする場合がある。オフィスからの参加者はデバイスを使うことでそのやりとりに参加することができるが、そうすると出席者全員がそれぞれのデバイスに顔を向け、カメラに目線を向ける出席者は少なくなる可能性がある。調査会社Metrigyでアナリストを務めるアーウィン・レザー氏は、「同じ会議室にいるのに、参加者全員がデバイスを見ているだけなら、その場にいる意味は薄い」と語る。
こうした状況を防ぐため、企業はタッチスクリーン機能を備えた「デジタルホワイトボード」などのデバイスを導入し始めている。デジタルホワイトボードを使うことで、会議室にいる参加者とリモートでの参加者両方が、同時に同じ画面を見ながらブレーンストーミングが可能になる。例えばユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」の画面レイアウト「Front Row」は、チャット、ファイル、映像を同じ画面に表示できる。
ハイブリッド会議の問題、その3
動画を活用したコラボレーションに焦点を当てるメディア企業Let's Do Videoの創業者であるデービッド・マルドー氏は、「他の出席者に『音声が聞こえづらい』と指摘するのは、失礼と捉えられかねない」と話す。会議中にエコーが発生した際、エコーを発生させている本人が状況を把握していない場合は、原因を見つけて問題を解決するまでに時間が掛かるという。
音声の問題を解決するには、発言者がマイクの近くに移動したり、ノートPCやモバイルデバイスに内蔵されているものよりも高性能なマイクを導入したりするのが近道だ。
会議用デバイスベンダーは、ハイブリッド会議の音声品質の向上に力を入れている。Web会議デバイスベンダーのPlantronics(Polyの名称で事業展開。2022年8月にHPによる同社の買収が完了)は、「Acoustic Fence」機能を導入している。Acoustic Fenceはエコーを抑制する「エコーキャンセル」技術によって仮想的な境界を作り、境界外で発生するノイズを遮断する機能だ。キーボードを打つ音や犬の鳴き声などのバックグラウンドノイズを除去する機能を強化しているWeb会議サービスベンダーもある。
後編は、問題の4つ目と解決のヒントを取り上げる。
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