「こんなハイブリッド会議は嫌だ」 参加者が“がっかり”する訳:残念なハイブリッド会議4選【前編】
会議室の参加者とリモートでの参加者が混在するハイブリッド会議では、全員がその場にいるような臨場感を出すのが簡単ではなく、参加者は会議にがっかりしがちだ。具体的には何がいけないのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機にWeb会議が普及した。会議室の参加者とリモートでの参加者が混在する「ハイブリッド会議」も、会議の開催形式としては珍しいものではなくなった。コミュニケーション研修を実施するSpeaker DynamicsのCEOであるカリン・リード氏は、ハイブリッド会議のさまざまな失敗例に遭遇したという。ハイブリッド会議で発生しがちな4つの問題を紹介しよう。
ハイブリッド会議の問題、その1
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リード氏は以前、ハイブリッド会議形式の企業研修を開催した。事前の打ち合わせで同氏は、会議室に音声と映像用のデバイスが備え付けられていると聞いていた。当日、映像用のデバイスとして準備されていたのは、会議室にいる参加者を映すためのカメラ1台のみで、リモートでの参加者は画面越しに同氏の後頭部を見つめる状態だったという。そこで同氏はノートPCから会議に参加する方法に切り替え、反響を防ぐためにノートPCの音声をミュートにし、参加者全員に同氏の顔が見えるようにした。「私は出席者に教える立場だったので、表情を読み取ってもらう必要があった」と同氏は振り返る。
ハイブリッド会議のより良い運営方法をテーマとした書籍を出版した経験があるリード氏によると、会議を有意義なものにするためには、ハードウェア、ソフトウェア、主催者の会議運営スキルの3要素が重要だと言う。音声や映像用のデバイスの準備が不十分な会議では、会議室の参加者とリモートでの参加者の間で得られる情報に差が出ることに加え、両者の間でのコミュニケーションが難しくなる。
調査会社Metrigyでアナリストを務めるアーウィン・レザー氏によれば、ハイブリッド会議の主な問題は、リモートでの参加者が会議室にいる全員を見渡すことができない場合に発生するという。リモートでの参加者は、参加者全員からよく見える。会議室にいる参加者は、1つのカメラから見渡す形で画面に映ることが一般的だ。レザー氏はこの形式について、「リモートでの参加者からすると、会議室の長いテーブルに参加者が座っている映像しか見えず、お互いに話している声もよく聞こえない」と指摘する。
参加者同士がお互いの様子を見やすくするには、次のような手段を講じることが一つの手だ。
- カメラを複数設置する
- 1台目のカメラを会議室の前の方に、残りのカメラを会議室のさまざまな場所に設置し、会議室全体を映すことができるようにする。
- 360度Webカメラの導入
- 例えば会議室用WebカメラベンダーのOwl LabsやWeb会議用ハードウェアを販売しているLogitechは、会議室の出席者を360度見渡す形で接写できる、卓上カメラを販売している。
- 人工知能(AI)技術を組み込んだカメラ(AIカメラ)のキャプチャー機能の利用
- AIカメラを使えば、会議室の出席者を識別し、それぞれの顔をWeb会議ツールの画面に映し出すことが可能だ。
- レザー氏によると、この機能は、全員がカメラに映っている場合のみに活用できる。
リード氏が主催した企業研修では、会議室にいる参加者をさまざまな角度から撮影するカメラを複数台設置したという。オンラインで参加する同氏の映像、会議の議題、オンラインの出席者を映すための3つのモニターも導入した。この研修では、会議室から参加した出席者が司会を務めた。この取り組みのおかげで、「参加者全員が同じ場にいるように議論することができた」と同氏は評価する。
中編は、問題の2つ目および3つ目と、それらを解決するためのヒントを取り上げる。
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