ネットワークの「オンプレミス回帰」で陥りやすい“落とし穴”とは:ネットワークと脱クラウドの現実【後編】
企業がネットワークの機能や機器をオンプレミスデータセンターで構築し直そうとする動きが広がっている。しかし、ネットワークの移行は容易ではない。企業が陥りやすいポイントを解説する。
企業がネットワークの機器や機能をクラウドサービスからオンプレミスのデータセンターに戻す「オンプレミス回帰」の動きが活発になっている。オンプレミス回帰にはネットワークのパフォーマンスやコスト効率の改善が期待できる一方で、リスクもある。ネットワークをクラウドサービスからオンプレミスインフラに移行する際の注意点とは何か。
「ネットワークのオンプレミス回帰」の“落とし穴”とは
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連載:ネットワークと脱クラウドの現実
オンプレミス回帰の落とし穴
企業がネットワークをクラウドサービスからオンプレミスインフラに移行する場合、実行に移す前に考慮すべき要件は次の通りだ。
- IPアドレス管理
- 自社のネットワークを異なる場所に展開してIPアドレスが変わると、IPアドレスを参照して通信しているクライアントデバイスや、システムに影響が生じるため、事前に考慮する必要がある。
- ネットワークアクセスポリシー
- オンプレミスインフラでも、アプリケーションが通常通りに他のシステムと通信できることを確認する。
- ユーザーアクセスポリシー
- 全てのユーザーが、オンプレミスインフラでアプリケーションにアクセスできることを確認する。
データアーキテクチャも重要だ。ネットワークチームは、アプリケーションがどこからデータを送受信するかを調査すべきだ。例えば、クラウドサービスに残っている他のアプリケーションが移行後のアプリケーションに大量のデータを送信する場合、エグレス料金(クラウドサービスから外部へのデータ転送に対して発生する料金)が過大になる可能性がある。
ネットワークを考慮した、脱クラウド戦略を計画する
クラウドサービスからオンプレミスインフラへの移行には綿密な計画が必要だ。
ネットワークチームは本稿で説明したさまざまな課題に対処するためのツールを用意するべきだ。特に、データアーキテクチャに関して、システムやデータ同士の依存関係をマッピングするためのツールを必要とする企業は珍しくない。
それぞれの課題に対して事前に準備を進めておけば、コストやパフォーマンス、セキュリティに悪影響を及ぼすことなく、ネットワークの機能をクラウドサービスからオンプレミスインフラに戻すことができるはずだ。
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