Intelやはり独り負け “期待の半導体”は失望に変わったか……?:半導体ライバルとは対照的に【前編】
大規模な人員削減策を発表するなど業績不振が顕著になっているIntel。このほど同社が発表した業績でも、まだ回復の兆しは見られない。うまくいかない原因はどこにあるのか。
半導体競合ベンダーが著しい成長を見せる中、苦戦を強いられるIntel。一部では同社の業績好転に期待を掛ける見方が出る一方、同社がこのほど発表した2024年第3四半期(2024年7〜9月期)の業績に、回復の兆しはまだ見られない。不調の原因はどこにあるのか。
Intelなぜ独り負け? “期待の半導体”の売れ行きは
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Intelの2024年第3四半期の売上高は約133億ドルで、前年同期の142億ドルから約6%の減収。純損失166億ドルの赤字を記録している。同社は2024年第4四半期の売上高の予測については、133億ドルから143億ドルと説明した。
この業績発表を受けて、Intelの株価は一時9%以上の上昇となった。株価の上昇は、同社の一連の計画が進展していることを投資家が評価したものだと見ることができる。一連の計画としては、一つは同社が従業員の約15%に当たる1万5000人以上を削減するコスト削減策を2024年8月に発表していた件だ。それに加えて、同社は2025年に設備投資を100億ドル削減する計画も明らかにしている。
Intelが売上高を伸ばせていない一因は、半導体市場の需要に対処し切れていないことにある。データセンターの分野では、AI(人工知能)技術を活用するための半導体製品の需要が高まっている。
その状況は、競合ベンダーの業績を見ればよく分かる。AI市場をけん引してきたNVIDIAの2025年度第2四半期(2024年5〜7月)の売上高は約300億ドルとなり、前年同期比で122%を記録した。業績不振が続くIntelとは対照的な結果となっている。
データセンター分野のAI需要を取り込むために、IntelはAI技術用の計算処理を担うAIアクセラレーター「Intel Gaudi 3」(以下、Gaudi 3)を2024年4月に発表した。同社のCEOパット・ゲルシンガー氏は今回の業績発表において、「2024年末までに、Gaudi 3の収益目標である5億ドルを達成できない見通しだ」と説明。Gaudi 3によってAI関連市場における影響力を確保するという同社の狙いは、まだ成功していない。
コンサルティング会社J.Gold Associatesの創設者兼アナリストのジャック・ゴールド氏は、「IntelのGaudi 3の販売目標は当初から楽観的過ぎた」と指摘する。
AI技術向けの半導体製品は、多くの場合は生成AIのトレーニングに使われている。NVIDIAは「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」(H100)などのGPUによってその需要を取り込んできた。同社が2024年3月に発表したGPU(グラフィックス処理装置)アーキテクチャ「Blackwell」も、同様の需要に狙いを定めたものだ。
Advanced Micro Devices(AMD)のGPU「Instinct MI300X」(以下、MI300X)も、H100と競合する需要を狙っている。AMDは2024年におけるMI300Xの売上高の予測を、当初の45億ドルから50億ドルに引き上げた。
こうしてライバル企業がAI分野で売上高を伸ばす中、Intelは同じ波にはまだ乗れていない。問題はそれだけではない。赤字となっている受託製造(ファウンドリー)事業でも“てこ入れ”が必要になっている。
次回は、データセンター向け事業やファウンドリー事業を含めて、Intelの事業が今後どうなるのかを考える。
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