AIによって“消える仕事”と“生き残る仕事”の境界線は?:経済格差が広がる恐れも
米国学術機関の研究によると、AI技術によって“ある仕事”が消滅する可能性がある。AI技術に代替される仕事とは。代替されない仕事との違いは何か。
人工知能(AI)技術によって仕事の未来はどのように変わるのか。米国の学術機関である全米科学・工学・医学アカデミー(The National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)の研究によると、“ある仕事”が消滅する可能性がある。AI技術に代替される仕事と代替されない仕事の違いは何か。
“消える仕事”の特徴とは?
研究によると、熟練度の要求が低い業務と高い業務の中間に当たる業務が消滅する可能性がある。リスクにさらされる職種の例は、以下の通りだ。
- 初心者レベルの開発者
- ITサポート担当者
- 日常のルーティン作業を実施する職種
- 複雑な意思決定を下す必要がない職種
- 業務のワークフローを簡単に構造化できる職種
一方、問題解決や人間の判断といった、高熟練度を必要とする業務は、AI技術に完全に代替されない可能性がある。このようなAI技術による労働者の二極化が進むと、高度な専門性を持つ労働者と、専門性が必要ない作業に従事する労働者の間で就労機会や収入の格差が広がり、経済にさまざまな影響を及ぼしかねない。
「このことは、われわれが目撃してきた中で、最も大きな経済変革の一つになり得る」と、全米科学・工学・医学アカデミーのエリック・ブリニョルフソン氏(スタンフォード大学デジタルエコノミーラボ所長)は述べる。ブリニョルフソン氏は、報告書『Artificial Intelligence and the Future of Work』(人工知能と仕事の未来)の共同議長を務めた。
ブリニョルフソン氏は、失業、賃金格差、不平等の拡大、利益の不均等な分配などが生じる可能性を主張する。「例えば、ソフトウェアエンジニアはコンピュータによって誕生したが、コンピュータによる自動化は事務職の雇用を奪った」と同氏は指摘する。
ただし、AI技術はコンピュータとは別の革新性を持つ技術だ。「AI技術はさまざまな面で人間の能力を上回る」という見方もあるが、近い将来にそうなるとは限らない。
報告書は、AI技術が仕事の未来をどのように変える可能性があるかについても焦点を当てている。例えば、AIツールが以下の用途に使われる可能性を示した。
- コールセンター従業員の口調の明るさを監視する
- ホワイトカラーの従業員のコンピュータ使用状況を追跡する
- 勤務時間中のオンラインショッピングやメールチェックの頻度を監視する
- さまざまな職種で厳格な成果指標を課す
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