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AWSが主張する「オンプレミス回帰には魅力がある」の真意AWSの主張と批判【前編】

企業がアプリケーションやデータをクラウドサービスから、オンプレミスインフラに戻す「オンプレミス回帰」の動きを、AWSは自社ビジネスにとっての脅威だと主張する。同社の主張は正しいのか。

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 Amazon Web Services(AWS)に対して批判の声が上がっている。クラウドサービスベンダーが英国で反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を受けている中で、同社は「オンプレミスインフラのデータセンターにワークロード(アプリケーション)を戻す企業の動きが、AWSの競争上の脅威になっている」と主張している。これが誇張だという指摘もあるが、その批判に対してAWSは反論している。同社が主張するオンプレミスインフラへの回帰の動きとはどのようなものなのか。

AWSが主張する「オンプレミス回帰は魅力的」 その真意は?

 英国の市場に対する取り締まりを担う英国競争市場庁(CMA)は、クラウドサービス市場の調査を目的としてAWSなどのクラウドベンダーを調査している。AWSは、CMAに提出した意見書の中で、企業がアプリケーションやデータをオンプレミスインフラのデータセンターに戻す「オンプレミス回帰」の動きが、AWSの事業の脅威になっている点を強調した。

 さらにAWSは、クラウドサービス市場で反競争的行為が横行しているのか否かを調査する上で、「CMAはオンプレミス回帰という競争上の脅威を考慮する必要がある」と主張した。

 CMAが2024年9月16日付で公開した公聴会の要旨によると、AWSは次のように述べている。「市場調査のクラウドサービスに対する視野が狭く、ITサービス市場内にこうしたオンプレミスインフラのサービスがあることを文脈に取り入れていない」。加えてAWSは「CMAが示した証拠や、競争に悪影響があるとの見解は精査に耐え得るものではない」と主張する。

 AWSによれば英国のクラウドサービス市場には激しい競争がある。「アプリケーションをどこで稼働させるのかに関して、顧客にはかつてないほど多くの選択肢がある」と同社は語る。

 AWSは、「顧客が一度クラウドサービスに移行したらオンプレミスインフラに戻ることは決してない、との認識は正しくない」とし、この点からもCMAの調査範囲は狭過ぎると主張。「AWSのクラウドサービスはオンプレミスインフラでのITサービスとの競争に直面している」とAWSは述べ、オンプレミス回帰を選択した顧客の例を示した。

 「データセンターの構築には大変な労力が必要だが、顧客がそれを実行するのはオンプレミスインフラへの回帰に魅力があることを示している」とAWSは指摘する。


 次回はAWSの主張に対する批判を紹介する

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