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消費者を欺く「フェイクレビュー」はこれで消える? 米国で始まった規制の中身:厳格化するフェイクレビュー規制【前編】
消費者をだます偽の商品レビュー「フェイクレビュー」を取り締まる米連邦取引委員会(FTC)の規則が発効した。具体的にどのような行為を禁止するのか。
高評価の商品レビューを信じて買った商品が手元に届いてみると、レビュー内容とはかけ離れたものだった──。消費者を欺く偽の商品レビュー「フェイクレビュー」は、生成AI(AI:人工知能)などの技術進歩に伴い、見分けるのが困難になりつつある。
そうした中、米連邦取引委員会(FTC)はフェイクレビューの対策に乗り出した。2024年8月、FTCはフェイクレビューを取り締まる規則「Final Rule Banning Fake Reviews and Testimonials」を発表。同年10月に発効した。どのようにフェイクレビューを規制するのか。
これでフェイクレビューは消える? FTCが取り締まる内容とは
FTCの規則が禁止するのは、フェイクレビューに関する以下の項目だ。
- フェイクレビューの作成、購入、拡散
- AI技術を使って生成したレビューや、商品やサービスを使用した経験のない消費者が作成したレビュー、商品やサービスの品質を誇張したレビューを作成する行為。
- フェイクレビューを作成、販売したり、フェイクレビューだと知りながらその情報を拡散したりする行為。
- フェイクレビューか肯定的な内容かどうかにかかわらず、企業がレビューを購入したり、レビューを作成した消費者に報酬を提供したりする行為。
- 企業関係者によるレビューの作成
- 企業の管理職や役員、請負業者といった、その企業の財務に関与する人が、企業との関係を適切に開示せずにレビューを作成する行為。
- 従業員が近親者や自社の従業員に同様の依頼する場合も、規制の対象になる。
- 第三者を装ったレビューの作成
- 自社に関係があるWebサイトの運営者や組織が、自社に関係がない第三者を装い、立場を適切に開示せずにレビューを提供する行為。
- 否定的なレビューの抑制
- 法的な根拠に基づかない脅迫や物理的な脅しによって、消費者の否定的なレビューを抑制する行為。
- 肯定的なレビューだけを表示させるようにし、消費者を誘導する行為。
- フォロワー数や「いいね数」の売買
- botや乗っ取られたユーザーアカウントを使用して獲得したフォロワー数や「いいね」の件数、閲覧数など、レビューを左右する指標の売買。ただし「指標がフェイクであることを消費者が認識していた」または「注意を払えばフェイクであることを認識できた」場合のみ、規制対象となる。
FTCの規則は、フェイクレビューの作成や否定的なレビューの抑制を禁止し、消費者を詐欺から保護するとともに、より透明性の高いオンライン市場の実現を目指している。
次回は、フェイクレビューの見分け方を紹介する。
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