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“もう辞めます”を言わせる「静かな解雇」の残念な末路:密かに進む「静かな解雇」の実態【第4回】
テレワークが広がったことや、人材の流動性が高まっていることなどを背景に「静かな解雇」が起きている。静かな解雇が起きている職場では、組織や従業員に幾つか懸念される影響が生じる可能性がある。
ある日を境に重要なプロジェクトから外されたり、上司の反応が「なんとなく冷たい」と感じたりする場合、それは「静かな解雇」が起きている可能性がある。静かな解雇はテレワークの普及や人材の流動化など、現代的な風潮を反映した事象だと言えるが、それが起きている職場は要注意だ。組織や従業員に対して幾つか懸念される点がある。
「静かな解雇」の残念な影響とは
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連載:密かに進む「静かな解雇」の実態
- 第1回:出社したけど居場所がない――オフィス回帰は「静かな解雇」の口実だった?
- 第2回:窓際族よりもっと辛い? 「静かな解雇」の語られざる実情
- 第3回:“辞めろ”とは言わない「静かな解雇」が起きている現代的な理由
徐々に広がる「無言の意思表示」
静かな解雇とは、明確な解雇通告をすることなしに、従業員を自発的な退職に追い込むことだ。静かな解雇は退職する従業員本人に損害を与えるだけでなく、チーム全体、場合によっては組織全体に影響が波及する。
不健全な職場環境で静かな解雇は起きやすいが、静かな解雇が起きるとその職場環境はさらに悪化し、最終的には企業の収益にも悪影響を及ぼす可能性がある。次のような悪影響が考えられる。
- 士気の低下
- 上司が従業員に関心を示さなくなると、その従業員は自分の仕事に価値を見出せなくなり、モチベーションが低下する。
- 静かな解雇という慣行がチーム内で知られるようになると、他の従業員にも広まり、生産性の低下や、リーダーシップと組織全体に対する信頼の低下につながる。
- 共同作業の減少
- 静かな解雇によって孤立したり、締め出されたりした従業員は、共同作業やチームワークに有効に参加できない。
- 共同作業が減ると、伝達ミスや期待値のずれが増え、従業員間の対立が生まれる。
- 評判の低下
- 従業員に対して静かな解雇を実施していることが世間に知られると、組織のブランドと評判に傷がつく。
- 人材採用や顧客獲得、顧客維持にも悪影響が及ぶ可能性がある。
- 離職率の上昇
- 会社を去るのは、静かな解雇によって辞める従業員にとどまらない。自分も静かな解雇の対象になり得るという不安を抱く従業員や、そのような環境で働き続けたくないと考える従業員も、後に続いて会社を辞めてしまうことがある。
静かな解雇の対象となった場合の対処法
もし自分が静かな解雇の対象となっていることが疑われる場合、自分自身を守り、主導権を取り戻すための方法として、次の3つのステップがある。
- 状況を把握する
- チームから疎外されたり、正当に評価されなかったり、過剰に批判されたりしていると感じたら、それを裏付ける具体的な証拠を集め、文書化する。
- 話し合いを始める
- 上司と率直な話し合いを始め、証拠を検証し、誤解がある場合はそれを解消する。話し合いは正直に行うべきだが、対立は避けるようにしよう。話し合いの結果、従業員が問題として捉えていた事象が、実は単に上司が従業員のニーズを見落としていただけだったということが分かる場合もある。
- 選択肢を検討する
- 話し合いの結果に基づいて選択肢を検討し、状況を改善するための計画を立てる。何を求められているかを明確にしたり、定期的にフィードバックミーティングを実施するように手配したりする。場合によっては、フォローアップで人事担当者や上級管理職に対応してもらうことも必要だ。
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