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「TOML」「INI」は何が違う? いまさら聞けない設定ファイル形式TOMLとINIの違い【前編】

IaCの活用では、設定ファイルの活用が鍵になる。代表的な設定ファイル形式「TOML」と「INI」は、どちらもさまざまなシーンで利用できる。どちらが自社に最適なのかを見極めるために、両者の違いを知ろう。

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 物理および仮想インフラの構成と設定をソースコードで管理する「IaC」(Infrastructure as Code)の活用においては、設定ファイル形式の選択が重要になる。本連載は、主要な設定ファイル形式「TOML」と「INI」について、概要や特徴、編集方法、長所と短所を紹介する。

TOMLとINIの概要

TOMLとは

 TOMLは、「Python」や「Rust」など、さまざまなプログラミング言語で扱える設定ファイル形式だ。拡張子は「.toml」を使用する。テスト用フレームワーク(特定の設計思想を具現化するプログラム部品やドキュメントの集合体)「pytest」、型チェックツール「mypy」のようなPython用ツールや、Rust用パッケージマネジャー「Cargo」が、TOMLをファイル形式として採用している。以下をはじめ、さまざまなIoC関連ツールでもTOMLファイルを扱うことができる。

  • コンテナランタイム(コンテナを実行、管理するソフトウェア)「containerd」
  • サーバレスアプリケーション開発フレームワーク「AWS Serverless Application Model」(AWS SAM)
  • コンテナ化ツール「Cloud Native Buildpacks」

 TOMLは一意の識別子である「キー」と「バリュー」(値)を組み合わせてデータを管理する「キーバリュー方式」の構造を特徴とし、明快で読みやすい。複数のデータ型を扱え、明確な形式で設定を記述できる。「JavaScript」「Java」「C#」「PHP」などの主要なプログラミング言語と組み合わせて使いやすいことも利点だ。ただし、ITインフラやシステム設定での用途は限られる。

INIとは

 INIはソフトウェアのデプロイ(展開)や設定管理によく使われる設定ファイル形式だ。もともとは「MS-DOS」や「Windows」用の設定ファイル形式だったが、現在ではバージョン管理システム「Git」、「Linux」のシステム管理ソフトウェア群「systemd」などのユーティリティー(特定の機能を補助するプログラムやツール)でも使用されている。

構文の特徴

TOMLの構文

 TOMLは等号で区切られたキーと値のペアで設定を記述する。値には文字列、整数、真偽値、日付を指定でき、キーには文字、数字、アンダースコア、ダッシュを使用できる。行頭のハッシュ記号(#)はコメントを表す。ファイル内の特定の場所にある空白文字(スペース、タブ、改行など)は無視され、大文字と小文字は区別される点は、設定ファイルの作成時には注意が必要だ。

INIの構文

 INIは「[section]」のように、角かっこで囲んだセクション名でセクションを分ける。各セクションでは、キーと値のペアを使用して設定を記述する。行頭のハッシュ記号またはセミコロン(;)はコメントを表す。

 INIの構文規則は以下の通りだ。

  • 大文字と小文字を区別しない
  • 特定の場所にある空白文字を無視する
  • 「"example one"」のように、空白を含む値は二重引用符で囲む
  • 等号、コロン、角かっこなどの特殊文字はバックスラッシュを使ってエスケープする(特定の文字が持つ特別な意味を打ち消す)必要がある

 INIファイルの解析ツールはさまざまなものが出回っている。INIには厳密な定義が存在しないため、ツールごとに固有の規則を持つ場合がある。


 次回は、TOMLファイルとINIファイルの編集、管理方法を解説する

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