「Google検索」は「ChatGPT Search」があっても“オワコン化”しない訳:AI時代、検索市場の勢力図に変化?【第3回】
OpenAIのAI検索ツール「ChatGPT Search」は、検索の在り方を大きく変える可能性がある。一方で、「Google検索」に代表される従来型の検索が不要になるとは言い難い。それはなぜなのか。
AI(人工知能)ベンダーOpenAIは2024年10月、AIチャットbot「ChatGPT」に検索エンジンを組み合わせた「ChatGPT Search」の提供を開始した。同ツールは従来の検索を大きく変える可能性を秘めている一方で、幾つかの点においては、依然としてGoogleの検索エンジン「Google検索」(Google Search)が優位だ。
本稿はChatGPT SearchとGoogle検索の長所と短所を整理するとともに、ChatGPT Searchの限界についても明らかにする。
「Google検索はオワコン」ではない? 「ChatGPT Search」の限界とは
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1.情報の網羅性とデータ範囲
Google検索は、数十年にわたり独自のWebクローリング(巡回・収集)技術を蓄積してきたことで、膨大量の情報をインデックス化している。
ChatGPT Searchはそのようにして受け継がれた情報資産は持たず、インターネットの情報全てに直接アクセスできるわけではない。サードパーティーの検索プロバイダーと連携して最新情報を取得するものの、情報量の面ではGoogleに劣ると言える。
2.リアルタイム情報の精度
ChatGPT Searchは、検索プロバイダーやメディアパートナーのデータを活用して、一定のリアルタイム情報を取得できる。しかし、分野ごとの網羅性や速報性ではGoogle検索に及ばない。
Googleは常にWeb全体をクロールし、最新の情報を即座に検索結果へ反映できるため、ニュースや速報性の高い情報では依然として強みを持っている。
3.正確性に関する懸念
ChatGPT Searchの基盤となるのは、LLM(大規模言語モデル)による回答生成だ。LLM特有の課題として、ハルシネーション(事実に基づかない回答を出力すること)のリスクがある。
Google検索に生成AI機能を統合した「AI Overviews」(AIによる概要)にも同様の課題はあるものの、Web上の情報を根拠とした回答を生成するため、ハルシネーションが起きる可能性はChatGPT Searchより低い傾向にある。
4.検証の難しさ
ChatGPT Searchは、情報の出典を明示するものの、回答の根拠を詳細に追うのは難しい場合がある。LLMが複数の情報を要約した形で出力するため、どの部分がどのソースに基づくのかが明確でないことがある。
Google検索はアルゴリズムによるランキングシステムに基づき、信頼性の高い情報を優先的に表示することができる。
ChatGPT SearchとGoogle検索の長所・短所を整理
ここで改めて、ChatGPT SearchとGoogle検索の長所と短所を整理しよう。
ChatGPT Searchの長所と短所
ChatGPT Searchの主な長所と短所は以下の通り。
- 長所
- 自然言語を理解し、直感的な質問に回答できる
- コンテキストを維持し、追加の質問にもスムーズに対応できる
- 質問に対する詳細な説明や要約を提供できる
- 創造的および分析的なタスクにも活用が可能
- 対話型AIによる、より没入感のあるユーザー体験を提供できる
- 短所
- リアルタイム情報へのアクセスは限定的
- 誤った回答を生成するリスクがある
- 従来の検索エンジンと比べて、扱う情報の範囲が狭い
- 画像検索機能が備わっていない
- 学習データに由来するバイアス(偏見)を含む可能性がある
Google検索の長所と短所
Google検索の主な長所と短所は以下の通り。
- 長所
- 独自のWebクローリング技術で蓄積した、膨大な情報インデックスを持つ
- 多岐にわたるカテゴリーの最新情報にアクセスできる
- 画像、動画、地図など、さまざまなメディアと検索機能が統合されている
- 独自アルゴリズムに基づいて、ランキングの信頼性を担保する
- 短所
- 会話型インタフェースを提供していない
- 大量の情報が提示され、必要な情報を見つけにくい場合がある
- 情報の要約が分かりにくい。ただし、AI Overviewsでこの問題は緩和されつつある
- 複雑な文脈を含むクエリの理解が限定的
次回は、ChatGPT SearchがGoogle検索を代替するのかについての考察を紹介する。
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