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「RPA」と「AIエージェント」の違いが分かる“10の視点”:AI時代の自動化を考察する【後編】
「RPA」と「AIエージェント」はどちらも業務自動化に役立つ技術だが、それぞれ異なる特徴を持つ。10個の視点で両者を比較する。
「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)と「AIエージェント」(AI:人工知能)は、いずれも業務の自動化を支援する技術だが、その特性や使いどころは異なる。どちらを導入すべきか判断に迷う企業のために、両者の違いを10個の視点で比較する。
「RPA」「AIエージェント」を10の視点で比較
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- 技術の成熟度
- RPAは2010年代に登場し、広く企業に導入されてきた実績ある技術だ。対して、AIエージェントは比較的新しく、大規模な導入事例はまだ限られている。
- 汎用(はんよう)性
- RPAはあらかじめ定義されたルールに従って既存の業務プロセスを正確かつ効率的に処理する。一方のAIエージェントには、従来RPAでは対応が難しかった非定型業務にも応用できる対応力がある。
- 状況適応力
- RPAはルールベースで動作するのに対し、AIエージェントはタスクに応じて判断を下し、ツールを自律的に選択および実行する。その分、動的な状況変化にも対処できるが、設計と制御にはより慎重なアプローチが求められる。
- マルチモーダル性
- AIエージェントはテキスト、音声、画像、動画といった多様な形式を処理可能なマルチモーダル性を備えている。これに対し、RPAは基本的に定型フォーマットやテキストベースの処理に限定される。
- 処理負荷
- AIエージェントは大規模言語モデル(LLM)を活用するため、多くの計算リソースを必要とし、レイテンシ(遅延)も発生しやすい。一方のRPAは軽量で高速に動作しやすく、インフラへの負荷は比較的小さい。
- ユーザーインタフェース(UI)依存性
- GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)ベースのRPAは、画面操作の再現によって自動化を実行する。そのため、UIが変更されると動作しなくなるリスクがある。一方、AIエージェントはUIに強く依存しない構成も可能で、変更への耐性がある。
- ユーザーとの関与レベル
- RPAは主にバックエンド業務を無人で処理するのに適している。一方、AIエージェントは対話インタフェースを通じてユーザーや顧客と直接やりとりするシナリオに適している。
- 信頼性
- AIエージェントは自律性に優れる反面、AIモデルが事実に基づかない回答を出力する「ハルシネーション」を起こすリスクがある。一方、RPAはスクリプト通りに動作するため、動作結果が予測しやすく安定している。
- 技術革新のスピード
- AI技術は急速な進化を遂げており、市場には新しいツールや機能が次々と登場している。RPAベンダーは安定性を重視しつつ、サードパーティーのAI機能と連携することで進化を図っているのが現状だ。
- API(アプリケーションプログラミングインタフェース)へのアクセス性
- AIエージェントはAPI経由でシステムと連携する設計が主流だ。そのため、APIが用意されていない環境では柔軟に動作できない可能性がある。一方、RPAはGUI操作により、APIが存在しない古いシステムにも対応しやすい。
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