なぜテレワークでは「普通のVPN」より「モバイルVPN」が役立つのか?:通常VPNにはない「モバイルVPN」の利点【中編】
テレワークや外出先で業務をする際の安全性を確保するVPN。その一種である「モバイルVPN」は、ネットワークの切り替え時でも接続を維持できるのが特徴だ。
企業の働き方改革が進み、在宅勤務や外出先での業務遂行などのテレワークが当たり前になる中、業務の安全性を確保するためのツールとして「VPN」(仮想プライベートネットワーク)の重要性が高まった。その一種である「モバイルVPN」は、VPNの基本的な役割を持ちながら、ユーザーが移動する際にメリットをもたらす機能も備える。
モバイルVPNが重要である理由
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連載:通常VPNにはない「モバイルVPN」の利点
VPNを基本から理解する
VPNはセキュリティあらゆる課題を解決できる万能ツールではないが、ネットワークやアプリケーションを利用する際の安全性を確保する上では重要な役割を果たすツールだ。第三者に通信内容を盗み見られたり、改ざんされたりするリスクを低減できる。
例えばテレワーカーが公衆の無線LAN(Wi-Fi)を利用して作業する際にVPNは役立つ。企業はテレワークをする従業員に対し、作業開始前にVPNへの接続を義務付けることで、個人情報や業務上重要なデータの漏えいリスクを抑えることができる。
プライバシーの確保も、VPNを使う大きな理由の一つだ。公衆無線LANは脆弱(ぜいじゃく)である可能性が比較的高い。インターネットサービスプロバイダー(ISP)がユーザーのオンライン行動を収集していることも懸念される。VPNを利用することで、こうしたプライバシー侵害のリスクを低減できる。
検閲の回避や地域によるアクセス制限を突破するためにVPNを使うユーザーも少なくない。VPNでは、VPNサーバを経由することで本来のIPアドレスが隠されるため、ユーザーの地理的な位置情報が第三者からは見えなくなる。特定の地域だけを許可するアクセス制限がある場合でも、その対象の地域にあるVPNサーバを経由することで、コンテンツにもアクセスできるようになる。これは、一部の動画配信サービスや企業サイトを利用する際に有効だ。
モバイルVPNの機能とそのメリット
通常のVPNに対して、モバイルVPNには特有のメリットがある。異なるネットワーク間を移動しても、セッション(通信の初めから終わりまでの単位)が切れることなく、アプリケーションへの接続を維持できるのはその一つだ。
通常のVPNでは、接続が一度切れるとセッションが終了し、再接続時にログイン操作が必要になることがある。モバイルVPNであれば、別の公衆無線LANに接続し直す場合や、移動中に一時的に通信圏外になるようなケースでもセッションが自動的に再開される。モバイルVPNは、ユーザーがネットワーク接続ポイントを切り替えても通信を維持できるように設計されているからだ。
その他、以下がモバイルVPNの特徴的な機能とそのメリットになる。
- バッテリー消費
- 一部のモバイルVPNサービスでは、デバイスのバッテリーに負荷のかかるバックグラウンドプロセスを停止するなど、バッテリー消費を抑えるためのさまざまな方法を採用している。
- キルスイッチ
- 通常のVPNでは、接続が切断された場合にデフォルトのネットワーク接続に自動的に切り替わる。モバイルVPNのキルスイッチ機能は接続の切断を検知し、VPN接続が回復するまでインターネットへのアクセスを停止する。これにより情報漏えいのリスクを最小限に抑えられる。
- ネットワークスイッチング
- モバイルVPNの大きな特長は、異なるWi-Fiのネットワークやモバイルネットワークに切り替えても通信の中断や再接続が起きにくく、業務を安定して継続できることだ。これはWi-Fiのネットワークが異なる場所を移動しながら作業することのあるテレワークにおいて特に有用だと言える。
- サーバロケーション
- VPNでは、接続する地域をユーザーが選択できる。VPNサービスのサーバがホスティングされている地域が多いほど、エンドユーザーの選択肢が増え、地域制限のかかっている可能性のあるさまざまなコンテンツにアクセスできる。サーバの数が多いほど、エンドユーザーが混雑の影響を受けることが少なくなる。
- スプリットトンネリング
- ユーザーが選択したアプリケーションだけがVPNトンネルを使用し、それ以外の通信はデフォルトのルーティング経路を経由するようにする。
次回はどのモバイルVPNサービスを使用するかを選ぶ際の比較ポイントを紹介する。
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