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なぜ「OSI参照モデル」がCCNAでもCompTIA資格でも問われるのか?ネットワークとOSI参照モデルの基礎【第1回】

ITに携わる全ての人が理解しておくべきなのが、通信を7つのレイヤーに分ける「OSI参照モデル」だ。資格試験や製品設計でその仕組みが重視される理由と、その通信の基本的な流れを解説する。

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アプリケーション | ネットワーク | OS


 「OSI参照モデル」とは、コンピュータやアプリケーションが通信時に利用するネットワークの構成要素を7つのレイヤー(階層)に分類して定義した枠組みだ。機器の物理的な接続方法から、アプリケーションが使用するプロトコル(規約)に至るまで、各レイヤーの役割と相互の関係性を視覚的に把握できることから、広く採用されている。各レイヤーごとの通信プロトコルが定義されているので、ネットワークの管理やトラブルシューティングにも役立つ。

なぜ資格試験でもIT現場でも「OSI参照モデル」が重要?

 OSI参照モデルは、ネットワーク機器やアプリケーションを開発するベンダーや開発者たちの指針として作成された。ベンダーは、自社の製品やサービスについて、通信プロトコル、アドレス指定、パケット化など、それぞれの方式について、OSI参照モデルに沿って説明することが多い。これにより相互運用性の確保が可能になる。

 OSI参照モデルはデータがネットワーク上でどのように送受信されるかを分かりやすく概念化しており、ネットワークとその構成要素について、理解を共有したり、評価したりする際の共通の土台として役立つ。

 もしネットワーク技術関連の認定資格の取得を目指しているなら、OSI参照モデルの理解が不可欠だ。Cisco Systemsの「CCNA」(Cisco Certified Network Associate)や、業界団体CompTIAの「CompTIA Network+」など、主要な認定プログラムでは、OSI参照モデルが基礎知識となっている。

 OSI参照モデルはあくまでも理論的なものなので、汎用(はんよう)的なガイダンスに過ぎない。実際の機器やアプリケーションが、OSI参照モデルが定義する7つのレイヤーに、その機能を厳密に分割して実装している訳ではない。現場で普及している「TCP/IPモデル」も、OSI参照モデルと微妙に異なる。

OSI参照モデルの通信の基本

 OSI参照モデルでは、ネットワーク内の2つのエンドポイント間の通信プロセスを、関連する機能や役割ごとに7つのレイヤーに分割する。エンドユーザーもしくはアプリケーションは、エンドポイントのデバイス上に位置する。

 OSI参照モデルでは、データを送信すると、データは送信元デバイスの上位のレイヤーから下位のレイヤーに下っていき、ネットワークを通過する。受信側のデバイスに到達すると、下位のレイヤーから上位のレイヤーへと上っていく。

 各レイヤーは、以下の要素によって構成される。

  • 通信プロトコル
  • ソフトウェア
    • OS、アプリケーション、NIC(ネットワークインタフェースカード)のデバイスドライバ(制御ソフトウェア)など
  • 有線ネットワーク
    • ツイストペアケーブル(電線を2本対でねじり合わせたケーブル)や光ファイバーケーブルなどで接続されたネットワーク
  • 無線ネットワーク
    • 無線LAN(Wi-Fi)や5G(第5世代移動通信システム)など
  • ネットワーク機器

 次回は、OSI参照モデルの7つのレイヤーについて、各レイヤーがどのような仕組みなのかを個々に解説する。

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