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Amazonが実現する“人とロボットの協働”で変わる人間の役割とは従業員を減らす訳ではない

Amazonは、物流現場向けのロボティクスシステムとAIエージェントを発表した。両技術の実運用が進む中、人間の従業員に求められる役割とは。

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人工知能 | 製造業 | 業務改善


 Amazon.com(以下、Amazon)は2025年10月23日(米国時間、以下同じ)、物流拠点での業務効率と安全性を高める技術として、ロボティクスシステム「Blue Jay」と人工知能(AI)エージェント「Project Eluna」を自社導入すると発表した。両システムは従業員の負担を軽減し、作業をより安全に進めることを目的としている。

両システムの具体的な役割と貢献度は

 Blue Jayは複数のロボットアームを統合制御し、商品のピッキング、収納、仕分けを同時に進める自動化システムだ。従来は3つロボットステーションごとに実施していた作業を1台で処理するため、省スペース化と生産性向上を同時に実現できるという。Blue Jayの開発には「デジタルツイン」(現実世界の情報をデジタル空間に再現する技術)が活用された。これにより、開発期間が従来の3年以上から約1年に短縮した。Amazon.comによると、Blue Jayは米サウスカロライナ州の拠点で実稼働しており、人間が手作業で実施していた処理の約75%を自動化している。

 Project Elunaは、倉庫のオペレーション管理者を支援する役割を担う。倉庫全体のデータをリアルタイム分析し、問題の発生を予測して最適な人員配置を提案する。Project Elunaは、祝日や行事が続く11月第4木曜日〜1月1日までのホリデーシーズンに、テネシー州のフルフィルメントセンターで試験導入が進められる計画だ。

 一部からは、「人間の従業員がBlue JayとProject Elunaに置き換わるのではないか」といった指摘もある。一方Amazon.comは2025年10月13日、年末に向けて25万人を採用する計画であることを明らかにしている。

 Amazon.comの物流、配送拠点で使用するロボットの開発を手掛けるAmazon Roboticsのタイ・ブレイディ氏(最高技術責任者)は、「AIとロボティクスを活用し、従業員と消費者双方により良い体験を提供することが目的だ」と述べる。従業員が物理的な負担の少ない“パワーゾーン”で作業できるようにする他、AIエージェントによる意思決定支援によってマネジャーがチームの育成に専念できるようにするという。

 同社はこれらの技術を使いこなすための教育にも注力しており、メカトロニクスやAI分野の社内研修、資格支援プログラムを拡充。Blue JayやProject Elunaの導入によって、従業員がAIスキルを身に付ける機会を増やしていると説明する。

 Amazon.comは、触覚認識機能を持つ倉庫用ロボット「Vulcan」や、ロボット群の制御を支援する生成AIモデル「DeepFleet」など、AIとロボティクス技術を掛け合わせた製品を次々と実用化している。Blue JayとElunaはその延長線上にあり、“人と機械が協働する現場”という新たな形を明確に打ち出した。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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