IT管理者の半数以上が悩む「アラート疲れ」の裏にある“本当の課題”:ツールの乱立と新たな課題
DX推進のため導入したツール群が、IT部門の疲弊を招いている。Splunkの調査では、半数以上が「ツールの乱立」「誤検知アラート」に悩まされていることが判明した。このアラート疲れの先にある、本当の課題とは。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、企業はクラウドサービスへの移行やマイクロサービスアーキテクチャ(複数の小規模サービスを組み合わせた構成)の導入に取り組んでいる。これによってビジネスの変化に素早く順応できる体制が整う一方、システムは複雑化する。その結果、システム全体の把握が難しくなり、IT運用チームは障害発生時の原因を特定するために、さまざまな専門ツールを使い分けなければいけないという課題に直面している。
この実態は、可観測性(オブザーバビリティ)ベンダーSplunkが2025年10月に発表したレポート「オブザーバビリティの現状 2025」から明らかになったものだ。同社は日本を含む世界9カ国のITおよびエンジニアリング専門家1855人を対象に、2025年2月から3月にかけて調査を実施した。それによると、回答者の半分以上が「多過ぎるツール」(59%)と「大量の誤検知アラート」(52%)に悩まされている上、AI(人工知能)技術が新たな課題をもたらしている。
こうした課題を乗り越えるために重要なのが、単なるシステム監視ツール以上の効果をもたらす「オブザーバビリティ」ツールの導入だ。
調査が示す「新たな重荷」
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オブザーバビリティはIT管理をどう変えるか
今回の調査では、オブザーバビリティツールを導入した企業の74%が「従業員の生産性が向上した」と回答した。65%が「収益にプラスの影響があった」、64%が「製品ロードマップの形成に貢献した」と答え、オブザーバビリティへの取り組みがビジネス戦略の意思決定に不可欠な要素になっていることが示された。
一方でAI技術が、新たな課題を生んでいることも判明した。調査対象者の47%が、「AI関連処理(ワークロード)の監視によって業務がより困難になった」と回答した。AIモデルの精度や応答時間、料金を監視するといった、従来とは異なる監視業務が発生し、IT部門の負担が増している状態だ。
Splunkは、調査対象企業のうち、平均して年間125%のROI(投資対効果)を生み出す企業を「オブザーバビリティリーダー」と分類し、その特徴を分析した。それによると、オブザーバビリティリーダーの特徴は、オープンなデータ収集規格「OpenTelemetry」や、ソースコード内で問題がある箇所を特定する「コードプロファイリング」といった先進的な技術を積極的に採用している点だ。
「オブザーバビリティを実践できる人は、顧客エンゲージメント戦略や製品ロードマップなどにおける重要なビジネス意思決定において、不可欠になりつつある」とSplunkは結論付け、その役割がITの枠を超えて拡大していることを強調する。
AI技術の導入が加速する一方で、その監視という新たな課題が生じていることが浮かび上がった点について、Splunkは「AI時代においてオブザーバビリティがビジネスの成果を左右する鍵であることを示している」と主張する。今後は、AIワークロードを管理するための専門知識や、IT部門とセキュリティ部門間の連携強化が、ますます重要になることが予測される。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。