CiscoとNVIDIAがAIデータセンターの「制約」を破るスイッチを共同開発:電力、計算能力、通信速度の壁
Cisco SystemsはNVIDIAの技術を組み込み、データセンターでのAI処理に最適化したスイッチ「Cisco N9100」を発表した。この製品の強みはどのようなものか。
Cisco Systemsは2025年10月28日(太平洋標準時)、NVIDIAと共同開発したデータセンター向けスイッチ「Cisco N9100」を発表した。AI(人工知能)モデルの力を引き出す高性能ネットワークの構築を可能にするという。Cisco N9100はどのようなものなのか。
Cisco N9100の特徴と、併せて発表された取り組み
Cisco N9100は、NVIDIAの技術「NVIDIA Spectrum-X Ethernet」を採用している。NVIDIA Spectrum-X Ethernetは、大容量データの高速処理を可能にする「DPU」(データ処理装置)を組み込んで、AIモデルが実行する処理(AI処理)を高速化するスイッチの仕組みだ。Cisco N9100のOSは、Cisco SystemsのネットワークOS「NX-OS」またはオープンソースネットワークOS「SONiC」から選択できる。
Cisco SystemsはCisco N9100の投入によって、「ネオクラウド」(AI処理に特化したクラウドサービス)や「ソブリンクラウド」(データ主権の確保を目指したクラウドサービス)の構築を容易にすると説明している。同社は、NVIDIA製品を利用してAI処理を利用しやすくするパートナー企業「NVIDIA Cloud Partner」になっており、その一環としてCisco N9100を開発したという。
合わせてCisco Systemsは、AI技術導入の促進を目指す共同の取り組み「Cisco Secure AI Factory with NVIDIA」の強化も発表した。新たにセキュリティ機能とオブザーバビリティ(可観測性)機能を組み込み、AIモデルを攻撃から保護したり、AIインフラの可視性を高めたりすることが可能になるという。
Cisco Systemsのプレジデント兼最高プロダクト責任者、ジーツ・パテル氏は、AIアプリケーションを活用するためのインフラには「電力、コンピューティング、ネットワークパフォーマンスの制約を乗り越える新たなアーキテクチャが必要だ」と述べる。NVIDIAとの連携によってデータセンターでのAI処理に最適化した技術を投入し、サービスプロバイダーや一般企業に提供する方針だ。
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