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Google検索に“AI要約”が実装されても9割の人は「それだけでは不十分」と回答SEOは終わらない

生成AIによる要約「AI Overviews」が「Google検索」に実装された。これによってエンドユーザーはWebサイトに訪問しなくなることが懸念されていたが、実態は異なるようだ。なぜ「AI要約」だけで満足できないのか。

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人工知能 | Google | 検索エンジン | SEO


 「ChatGPT」をはじめとするAI(人工知能)チャットbotの登場で、情報検索の在り方は変わった。この動きは「Google検索」が生成AIによる要約「AI Overviews」を検索結果の上部に表示するようになって、転換期を迎えている。「AI機能が答えを要約するようになれば、もう自社サイトに人は来なくなるのでは」という、従来の検索エンジン最適化(SEO)の終焉(しゅうえん)を懸念する意見がある。

 ところが、デジタルマーケティングを手掛けるグランネットが2025年10月に実施した、20代以上の就業者500人を対象とする調査で、Web検索を利用するエンドユーザーの実態は異なることが明らかになった。

AIを「信頼」できないユーザー心理の真相

 調査では、Google検索がAI Overviewsを表示するようになった後も「Webサイトを確認することが多い」と回答した調査対象者は、検索目的を問わず42〜47%に上った。対照的に、「AI Overviewsによる要約だけで足りることが多い」と回答した調査対象者は、わずか5〜7%にとどまる。9割以上のエンドユーザーが、AI Overviewsを「入り口」として使いつつも、4割以上が「従来通りWebサイトを直接確認」、3割以上が「まずAI Overviewsを見て、必要ならWebサイトも見る」という実態が浮き彫りになった。

 この傾向は、エンドユーザーが生成AIに対して抱くある懸念とも密接に関連している。

 調査対象者のうち生成AIを利用した経験がある人は、全体の38%に達したように、AIツールの浸透が進む一方で、利用者には根強い不安がある。調査対象者が懸念しているのは「情報が古かったり、間違っていたりするかもしれない」(37%)、「どの情報を基に答えているのか分からない」(36%)といった、情報の「信頼性」と「透明性」だった。

 生成AIによる要約は、検索を代替する万能な答えではなく、情報を整理、要約し、判断を効率化するための補完的な道具として使われていることが分かる。

 この「効率化」は、特に購買行動において顕著だ。調査において、商品やサービスの比較検討に生成AIを利用したことがある層(53%)のうち、61%が「意思決定に影響があった」と回答した。生成AIが候補の絞り込みや時短を助け、エンドユーザーが最終判断を下すための信頼できる情報を求めてWebサイトを訪れる、という新しい行動パターンが定着しつつある。

 グランネットの調査は、AIツールが普及した状況においても信頼性、専門性、独自性を持つWebサイトの価値が失われていないことを示すものだ。企業に求められるのは、従来のSEO対策にとどまらない、広義の検索最適化戦略だ。生成AIに引用されやすいよう情報を構造化し、AI Overviewsを見たエンドユーザーが答え合わせのために訪れる最終的な受け皿として、Webサイトの質を高め続ける必要がある。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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