大企業の生成AI導入、どの職種なら進めやすい? 日鉄ソリューションズが調査:職種によって明確な差
日鉄ソリューションズは、日本の大企業における生成AI活用の実態調査結果を発表した。業務効率化など一定の効果が見られる一方、導入レベルや職種、業種によって活用状況にばらつきがあることが分かった。
日鉄ソリューションズは2025年11月18日、日本の大企業における生成AI(AI:人工知能)の活用実態を尋ねた調査の結果を公表した。調査は2025年9月8日〜9日、単体従業員数1000人かつ単体年間売上高500億円以上の日本企業に所属する正社員、経営者、役員を対象に実施したものだ。
本調査からは、生成AI技術の導入で得られる効果や、導入を進めやすい業務や職種の傾向が明らかになった。
導入が進んでいるのはどの職種?
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回答者3757人に、所属部署における担当業務で生成AIを活用しているかを尋ねた質問では、43.4%が「活用している」、56.6%が「活用していない」と答えた。
調査からは、職種や業種別の生成AIの活用度合いの傾向が明らかになった。生成AIの活用率を職種で分類した結果、「法務・知財・コンプライアンス」「研究開発」「商品企画・サービス企画」「広報・IR・マーケティング・販売促進・営業企画」の順に活用率が高かった。一方、「製造・生産技術」「店舗運営・販売サービス職」での活用率は30%未満だった。
業種別では、「情報・通信」「化粧品・トイレタリー・サニタリー」「薬品・医療用品」の順に活用率が高く、活用率は50%を超えていた。一方、「流通・小売業」「交通・レジャー業」「外食・各種サービス」での活用率は30%未満だった。
所属部署等における生成AIの業務活用の取り組みに関与した経験がある回答者390人に生成AIの活用レベルを聞いたところ、「情報収集・試行レベル」が22.3%、「補助的・効率化レベル」が46.7%で、合わせて69%の回答者が生成AIを業務の補助として使うにとどめていることが分かった。一方、「業務プロセスへの組み込みレベル」は16.2%だった。
生成AIを活用することによって得られた効果を尋ねた質問では、「業務時間・作業工数の削減」が39.5%で最多、続いて「単純作業・手作業の自動化」(32.6%)、「自身の専門知識・スキルの向上」(30.3%)が並んだ。
日鉄ソリューションズのNS Craft AI Factory事業責任者の呉正大氏は、「専門知識を求められる職種では活用が進んでいるが、属人性が高い業務では導入が進んでいない」とし、「生成AIは企業の競争力を支える基盤となる。今後は業務効率化だけでなく、新規事業や意思決定支援への展開を見据えたロードマップが必要だ」とコメントしている。
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