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「AWS re:Invent 2025」で明かされたAI活用の未来像を3分で解説あの公式動画をサクッと理解する

大手ベンダーが発表する公式動画を見たい、しかし時間がない、英語だから難しそう。そんな忙しいユーザーに、サクッと動画を理解できるコンテンツを紹介する。今回はAWSのCEOが登壇した基調講演を取り上げる。

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 Amazon Web Service(AWS)のCEO、マット・ガーマン氏は2025年12月3日(米国時間)、12月4日まで開催中の年次イベント「AWS re:Invent 2025」の基調講演で登壇した。本記事では、IT部門の担当者やITエンジニアが押さえておくべき講演のポイントを紹介する。

3分で分かる、講演のポイントまとめ

  • 人工知能(AI)のフェーズ移行
    • 企業で使うAIは、単なる対話型のアシスタント(チャットbot)から、複雑なタスクを自律的に遂行するAIエージェントに移行しつつある。
  • Frontier Agentsの発表
    • 開発、セキュリティ、運用の3領域で、人間の介在なしに長時間稼働して問題を解決する3つの自律型エージェントが登場。開発は「Kiro Autonomous Agent」、セキュリティは「AWS Security Agent」、運用は「AWS DevOps Agent」だ。
  • インフラとコスト効率が向上
    • AWS独自のAI専用チップ「Trainium3」を搭載したAI専用サーバ「EC2 Trn3 UltraServers」と「Trainium4」(開発中)により電力効率が向上。データベース利用ユーザー向け割引プラン「Database Savings Plans」が開始。
  • ユーザーが独自にモデルを構築できるように
    • 自社のデータを注入して追加学習ができる、企業向けのカスタムAIモデル構築サービス「Amazon Nova Forge」が登場。企業固有のドメイン知識を持ったAIモデル「Novellas」の作成が容易になる。

何が新しくて、何が変わるのか

  • AIエージェントの自律性が飛躍
    • 依存関係のあるコードの修正や障害の根本原因の分析など、従来数時間〜数日かかることが想定されるタスクを自律的に完遂できるようになることが期待できる。
  • AIエージェントのガバナンス実装
    • AWSが提供するAIエージェントの本番運用基盤「Amazon Bedrock Agent Core」に、AIエージェントの行動を制御する「Policy」と品質を評価する「Evaluations」が追加され、企業の管理下でAIエージェントを利用できる環境が整った。
  • 自社のデータセンターへのAI展開
    • オンプレミスインフラ向けの専用AIインフラ構築サービス「AWS AI Factories」を使って、ユーザーのデータセンターにTrainiumやGPUを導入できるようになった。
  • Savings Plansがデータベースにも適用
    • AWSのSavings Plans(長期契約による割引プラン)は従来、コンピュートサービス(AWSの仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)など)のみに適用されていた。今後、Savings PlansはAWSのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)やマネージドリレーショナルデータベースサービス「Amazon Aurora」にも適用可能となる。
  • S3の仕様拡張
    • AWSのオブジェクトストレージサービス「AWS Simple Cloud Storage」(Amazon S3)で保存できるオブジェクトのサイズが5TBから50TBへ拡大する。AI学習データなどのファイル管理を簡素化することが期待できる。

IT部門に与える影響やおすすめのネクストアクションは

  • 運用コストの見直し
    • Database Savings Plansが適用となるサービスを利用しているのであれば、コストの削減試算を進める。
  • 運用自動化の検討
    • AWS DevOps AgentやAWS Security Agentを試験的に導入し、夜間の障害対応や定期的な脆弱性スキャン、ペネトレーションテストの工数削減、内製化ができないか検討する。
  • AIガバナンスの策定
    • 社内でAIエージェントを開発、運用する際、Amazon Bedrock Agent CoreのPolicyを用いて、「返金処理の上限額設定」や「アクセス禁止データ」といったガードレールを定義し、システム上でユーザーに強制できるようにする。
  • データ基盤の整備
    • Nova Forgeの活用を見据え、ドキュメント、ログ、設計図といった社内の独自データをAIエージェントが学習可能な形式で整備、蓄積する戦略を立てる。

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