検索
特集/連載

「負け組」技術を選んでいないか? データが示すWeb開発の“真の勝者”実利用数で判明した「2025年の覇権ツール」

技術トレンドの読み違えは、将来の「技術的負債」と「エンジニア採用難」に直結する。数百万サイトの追跡調査で判明した、口先だけの流行ではない「実戦で選ばれているWeb技術」の勝者を公開する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

関連キーワード

CMS | OSS | Webサービス | Webサイト


 Web開発の世界において、技術の流行廃りは激しい。「最新」と持てはやされたフレームワークが翌年には廃れ、開発現場にメンテナンス困難な「負の遺産」を残すケースは枚挙にいとまがない。情シスや開発リーダーにとって、次にどの技術に投資すべきかを見極めることは、長期的なシステム運用コストと人材確保を左右する死活問題だ。

 ちまたの「人気投票」や「SNSの話題」ではなく、実際の稼働サイト数に基づいた「真の勝者」は誰なのか。

 ソフトウェア品質管理コンサルティングなどを手掛けるQ-Successは、Web技術調査サービス「W3Techs」のデータを基に、2025年から2026年にかけて最も実利用数を伸ばした技術「Web Technologies of the Year 2025」を発表した。調査対象は数百万に及ぶWebサイトだ。ここから見えてきたのは、単なる新しさだけではない、企業の現場が選択した「現実解」だった。

CMS、サーバサイド言語……各分野で「シェアを奪った」技術は?

 Web Technologies of the Year 2025の主な内容は次の通りだ。

コンテンツ管理システム(CMS)

  1. Elementorの「Elementor」
  2. Wix.comの「Wix」
  3. Shopifyの「Shopify」

 OSS(オープンソースソフトウェア)のコンテンツ管理システム(CMS)「WordPress」のWebサイトビルダープラグインであるElementorは、市場シェア(CMSを使用するサイトにおける使用率)が2025年1月の11.7%から2026年1月には13.1%に上昇し、3年連続で首位に立った。2位のWixと3位のShopifyも、2024年の調査結果と同様の順位だった。

 調査対象Webサイト全体での使用率(以下、全て2026年1月8日時点)は、WordPressが首位で43.0%を占め、Shopify(5.0%)とWix(5.9%)がそれに続いた。

サーバサイドプログラミング言語

  1. JavaScript
  2. Scala
  3. Ruby

 2023年にJavaを抜いて初めて首位に立ったJavaScriptが3年連続で首位を維持し、成長を続けている。2026年1月におけるWebサイト全体での使用率も、2025年1月の4.0%から5.4%に伸びた。2位のScalaはWixで、3位のRubyはShopifyなどのCMSで使用される傾向にある。

 Webサイト全体での使用率は、PHPが首位で72.4%を占め、Ruby(6.5%)とJavaScript、Java(5.4%)がそれに続いた。

JavaScriptライブラリ

  1. React
  2. Lodash
  3. GSAP

 2024年にUnderscoreを抜いて初めて首位に立ったReactが2年連続で首位を維持し、2位のLodashも2年連続でランクインした。

 ReactはWebサイト全体での使用率が、2025年1月の4.7%から6.2%に伸びた。

 3位のGSAPはアニメーション系ライブラリとして利用されており、これはWebサイトのUI(ユーザーインタフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)への企業や開発者の関心の高まりを示している可能性がある。

 Webサイト全体での使用率自体は、2011〜2015年と2020年の調査で首位だったjQueryの使用率が71.4%を占めるが、徐々に利用率が減少傾向にある。

CSSフレームワーク

  1. 「Tailwind」
  2. 「Foundation」
  3. 「Bulma」

 Tailwindはこのカテゴリーが2023年に創設されて以来、3年連続で首位を占めている。Webサイト全体での使用率は、Bootstrap(15.1%)が首位で、Animate(8.6%)とFoundation(0.5%)が続く。

Webサーバ

  1. Cloudflareの「Cloudflare Server」
  2. OSSの「Node.js」
  3. LiteSpeed Technologiesの「LiteSpeed」

 コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の「Cloudflare CDN」で使用されるCloudflare Serverが、2020、2021、2024年に続いて4度目の首位となった。2位のNode.jsと3位のLiteSpeedは、2024年と順位が入れ替わった。Webサイト全体での使用率は、OSSの「Nginx」(33.3%)が首位で、Cloudflare Server(25.8%)とApache(24.4%)が続く。

Webホスティングコントロールパネル

  1. Hostingerの「hPanel」
  2. cPanelの「cPanel」
  3. WP Tang Tocの「WPTangTocOLS」

 Webホスティングサービスを提供するHostingerが自社のユーザー向けに提供するhPanelが首位を占め、プロプライエタリソフトウェアのcPanelが2位。2024年に首位だったベトナムのWebサーバ管理ツールであるWPTangTocOLSが3位に転落した。hPanelは、Webサイト全体での使用率も4.1%と最も高かった。

OS

  1. OSSの「Linux」
  2. CloudLinuxの「CloudLinux OS」
  3. OSSの「AlmaLinux」

 2021、2024年に続いてLinuxが首位となった。商用のLinuxディストリビューションであるCloudLinuxと、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)互換のLinuxディストリビューションであるAlmaLinuxがそれに続いた。

 Webサイト全体での使用率は、LinuxをはじめとしたUNIX系OSの利用率が90.7%で、Microsoftの「Windows」が9.5%だった。単一のWebサイトが複数のOSを利用している場合もある。

Webホスティングプロバイダー

  1. Hostinger
  2. Wix
  3. Vercelの「Vercel」

 Hostingerが3年連続で首位を維持した。HostingerはWebサイト全体での使用率も、2024年の3.4%から4.6%に上昇した。Q-Successによると、Vercelは市場シェアを前年度調査からほぼ倍増させ、3位につけたという。

 Webサイト全体での使用率は、Shopifyが5.0%で首位となり、Amazon(4.9%)とHostinger(4.6%)がそれに続いた。

データセンター事業者

  1. Google
  2. Amazon Web Services(AWS)
  3. Hostinger

 Googleが使用Webサイトの増加数で首位に立ち、Amazonは使用率でリードしている。2024年に使用サイトの増加数で首位だったHostingerは、2025年は3位となった。

 Webサイト全体での使用率はAWSが10.2%で最も高く、Google(8.9%)とHostinger(4.4%)が続いた。

リバースプロキシプロバイダー

  1. Cloudflare
  2. DDoS-Guard
  3. AWS

 2022年にFastlyが首位を占めたが、この年を除けば、Cloudflareが2016年から2025年まで首位を維持している。ロシアを拠点に事業を手掛けるDDoS-Guardと、CDNサービス「Amazon CloudFront」を提供するAWSの順位は2024年と同じだった。

 Webサイト全体でのリバースプロキシの使用率はCloudflareが20.9%で最も高く、Amazon CloudFront(1.6%)がそれに続いた。

DNS(ドメインネームシステム)サーバプロバイダー

  1. Hostinger
  2. Cloudflare
  3. Wix

 Hostingerが3年連続で首位を占めた。Webサイト全体での使用率は、Cloudflare(15.4%)が最も高かった。

電子メールサーバプロバイダー

  1. Hostinger
  2. Hosting.com Group
  3. Microsoft

 Hostingerが3年連続の首位だった。2位のHosting.com Groupは、主に買収や合併で市場シェアを拡大している。Microsoftは2021、2022年に首位を占めたが、2025年は3位となった。Webサイト全体での使用率は、「Gmail」を提供するGoogleが16.9%で最も高く、Microsoft(13.5%)が続いた。

SSL認証局(CA:Certificate Authorities)

  1. GMOグローバルサインの「GlobalSign」
  2. Internet Security Research Group(ISRG)の「Let’s Encrypt」
  3. Actalisの「Actalis」

 首位のGlobalSignと2位のLet’s Encryptは、2024年と順位が入れ替わった。イタリアのプロバイダーが提供するActalisは2年連続の3位だった。Webサイト全体での使用率は、Let’s Encryptが60.7%で最も高く、GlobalSign(22.4%)が続いた

JavaScriptコンテンツ配信ネットワーク(CDN)

  1. Volentio JSDの「jsDelivr」
  2. OSSの「unpkg」

 首位の無料で利用できるjsDelivrは4年連続の首位で、2位のunpkgも2年連続でこの順位につけた。

トラフィック分析ツール

  1. Cloudflareの「Cloudflare Web Analytics」
  2. Snowplow Analyticsの「Snowplow」
  3. Bytedanceの「TikTok Pixel」

 Cloudflare Web Analyticsは2020年に提供開始されたサービスで、2025年は使用サイトの増加数が競合他社を上回った。Webサイト全体での使用率は1.5%に達した。2024年に首位だったSnowplowは、2025年も好調で2位となった。TikTok Pixelの3位は、Bytedanceのショート動画共有サービス「TikTok」の人気を反映している。

 Webサイト全体での使用率は、Googleの「Google Analytics」が44.6%で首位となり、Metaの「Meta Pixel」(9.3%)、Automatticの「WordPress Jetpack」(4.0%)が続いた。

広告ネットワーク

  1. Equativ
  2. VDX.tv
  3. PulsePoint

 フランスと米国を拠点とするEquativが2年連続の首位だった。Webサイト全体での使用率は、Googleの「Google Ads」が44.8%で、広告ネットワークの市場シェアの99.2%を占める。

タグ管理システム

  1. matomoの「Matomo Tag Manager」

 Google Tag Managerが2014〜2023年の10年間、首位を維持したが、Matomo Tag Managerが2024年に取って代わり、2025年も引き続き首位を占めた。同サービスはGoogle Tag Managerと比較して、GDPRへの準拠やサンプリング(一部のデータの抽出)をしない生データ分析、オンプレミスインフラでの実行が可能である点が特徴だ。

 Google Tag Managerは2025年に使用Webサイト数が減少し、Matomo Tag Manager以外のタグ管理ツールも同様だった。

ソーシャルウィジェット

  1. Metaの「WhatsApp」
  2. Bluesky Socialの「Bluesky」
  3. Telegram Messengerの「Telegram」

 メッセージングツールのWhatsAppが3年連続で首位を維持した。新興ソーシャルネットワークのBlueskyが2位、メッセージングツールのTelegramが3位となった。サイト全体での使用率は、WhatsAppが13.0%で、「Facebook」(11.2%)と「X」(9.9%)が続いた。

 今回の調査は、サーバサイドプログラミング言語やコンテンツ管理システム(CMS)といった18種類のWeb技術について、2026年1月1日と2025年1月1日の使用Webサイト数を比較し、最も増加数が大きかった上位3つの技術をWeb Technologies of the Year 2025としている。一部のカテゴリーでは、使用Webサイトが増加した技術が1つか2つだったため、これらの技術のみが挙げられている。「Web Technologies of the Year」は、同社のWeb技術調査サービスの一環として、毎年初めに結果が発表されている。

 調査対象は、Webサイトのコンテンツ分析とサイト間のリンク構造に基づいて、「何らかの意味のあるコンテンツや機能を備えている」と見なした数百万のサイトだ(Q-Successはこれらのサイトを「the relevant web」と定義している)。既定のWebサーバページしか表示しないサイトなど、有用なコンテンツを持たないサイトや、他のサイトとコンテンツが重複しているサイトは、調査対象から除外されている。

既存技術の深化とWebサイトのUI/UX強化が目立った1年に

 2025年の調査結果を振り返ると、ノーコード・ローコードの利便性を追求する層では、ElementorやWix、ShopifyといったWebサイト構築ツールが2024年度に引き続き地位を築いたといえる。一方でより高度な開発をする層では、ReactやTailwindといった「モダンな標準」が、既存のjQueryやBootstrapからシェアを奪っており、「開発の手軽さ」と「高度な表現の追求」の二極化が進んだ。

 アニメーションライブラリのGSAPや、高速な配信を可能にするVercel、Cloudflareの躍進も目立った。単にWebサイトが存在するだけでなく、「いかに心地よく、速く動くか」というユーザー体験の質が、技術選定の重要な基準になりつつある。

 CloudflareはもともとCDNやDDoS対策を手掛けるベンダーだったが、Webサイトの配信や分析、エッジを一括で管理できる「統合型サービス」としての機能を充実させつつある。従来のリバースプロキシだけでなく、Webサーバ、分析ツールなど複数の部門で首位を獲得したのはその結果といえる。

 Elementor、React、Tailwind、Cloudflare、JavaScriptといった2024年の調査から上位を維持する技術は順位をほぼ変えずに成長しており、既存技術が変わらず勢力を拡大している傾向にある。一方でGSAPやVercel、Cloudflare Web Analyticsなど、UI/UX強化や統合型サービスに強みを持つ技術が存在感を増した点は、2025年ならではの変化だろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る