AIを“実験”から“本番”へ導く──AI向け5G基盤開発でエリクソンとNTTデータが協業:分散環境の“最後の壁”を突破
EricssonとNTT Dataは、「企業向け5G」を共同提供すると発表した。グローバルで運用できるモデルを確立し、エッジAIをリアルタイムかつ自律的に稼働させる基盤を構築する。
企業が人工知能(AI)を製造現場や都市インフラなどの分散環境に組み込むに連れ、ネットワークは「裏方」の存在だけではいられなくなっている。リアルタイム性と自律性が求められるAI運用を支えるには、ライフサイクル全体を管理できる“本番対応”の接続基盤が不可欠だ。こうした問題意識の下、EricssonとNTT Dataは、AI運用をグローバルスケールで実現するための「企業向け5G」を共同で提供する。
両社の狙いは、設計から統合、運用、保守までを一貫して管理する、世界共通の導入モデルを確立することにある。これにより、製造、鉱業、港湾、空港、エネルギー、輸送、スマートシティといった分野で、AIのパイロット導入から本番運用への“明確な道筋”を示すという。
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「最後の壁」は統合の複雑さ
「自律的に動くAIエージェントを大規模かつ安定的に動かすには、プライベート5Gが中核となる。しかし、統合の複雑さが依然として最後の壁になっている」。調査会社IDCのアレハンドロ・カデナス氏(通信分野担当アソシエートバイスプレジデント)は、こう指摘する。今回の協業は、こうした運用面、拡張面、責任分界の課題を、接続性とAIを一体で設計することで乗り越えようとする試みだ。
実務面では、Ericssonのプライベート5G製品群や「無線WAN」(WAN=ワイドエリアネットワーク)と、NTTデータのグローバルSierとしての知見、マネージドサービスを組み合わせる。プライベート5Gは、世界共通のアーキテクチャとセキュリティを備えたフルマネージドサービスとして提供される予定だ。
さらに、NTTデータのエッジAIエージェントを、Ericssonのエンタープライズ向けエッジプラットフォーム上で稼働する。データが生成される現場でAIが判断を下し、リアルタイムかつ自律的な意思決定を可能にする点が特徴だ。両社は共同で販売、マーケティング、導入を進め、ベンダー分散による複雑さを減らし、価値創出までの時間短縮を図る。
重点4分野と想定ユースケース
EricssonとNTT Dataは以下4つを協業における重点領域としている。
- グローバル規模のプライベート5Gマネージドサービス
- 企業ネットワークへのAIの直接組み込み
- 業界別に再利用可能なソリューション
- 統一されたグローバルGo-To-Market
ターゲットとする業界や具体的なユースケースは以下だ。
- 製造業
- 画像やセンサーデータを活用した自動品質検査や予兆保全、安全監視
- 港湾や物流、輸送分野
- 車両・資産データを基にした動的ルーティングや安全管理
- エネルギー・鉱業分野
- 危険環境での遠隔・自律運用やAIによる高度監視
- スマートシティ
- 交通制御や公共安全、エネルギー・行政サービスのリアルタイム最適化
NTTデータでエッジサービスを統括するシャヒド・アーメド氏は、「エッジAIやフィジカルAIを本番で機能させるには、接続性、知能、セキュリティを一体で提供できるパートナーが必要だ」と強調する。エリクソンのアーサ・タムソンズ上級副社長も、「実験段階から、常時稼働するプロダクショングレードの運用へ移行するための基盤を提供する」と語る。
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