業務削減のはずが…… 「AIOps」導入で9割が苦しむ“誤動作”:かえって現場は疲弊?
企業はAIOpsを導入して次々に定型業務を削減している。その裏で、システム担当者がAIツール特有の問題に疲弊している実態が明らかになった。効率化を目指したはずの現場で何が起きているのか。
IT人材不足やシステムの複雑化に伴い、ITインフラの運用管理業務における属人化や運用負荷の増大が課題になっている。この解決策として期待されているのが、AIツールを活用して運用プロセスを自動化する「AIOps」だ。監視の精度向上や障害復旧の迅速化を実現する技術として、国内企業でも徐々に導入が進み始めている。
システム開発企業ボスコ・テクノロジーズは2025年11月12日から13日にかけて、AIOpsまたはAI技術を活用したIT運用自動化ツールを導入している企業の情報システム担当者110人を対象に、調査を実施した。その結果によると、調査対象者の約7割が導入後に業務負荷の軽減を実感していることが判明した。特に、これまで目視で実施していた作業、休日や夜間を含む定型的なアラート処理などの業務で効率化が図られている。IT運用の属人化を解消し、業務を効率化するという当初の導入目的は、一定の成果を上げていると言える。
自動化による恩恵の裏で、新たな課題も浮き彫りになった。AIツールの誤検知や誤動作が発生するケースが頻発しており、回答者の約9割がその事後処理に追われているのだ。効率化を目指して導入したはずのAIツールが、現場に別の負荷を生み出している実態が明らかになった。
AIツールの誤動作の具体的な内容と、現場が抱える「心理的抵抗」の正体とは。調査結果から、AIツールを安全に利用するためのルールと仕組みを読み解く。
運用現場が陥る“自動化のわな”
AIOps導入企業における業務負荷の軽減効果は、具体的な数字に表れている。調査において、「大幅に減った」「やや減った」と答えた担当者に削減された業務内容を聞くと、最多は「ログの目視確認作業」で67.5%に上った。次いで「定型的な監視レポートの作成」が61.4%、「夜間、休日のアラート処理」や「障害の一次切り分け作業」がそれぞれ53.0%となっている。これまで人間が手作業で実施していた時間的ないし精神的負担が大きい業務を、AIツールが的確に代替していることが分かる。
一方で、全体の66.4%がAIツールによる誤検知や誤動作を「よくある」「時々ある」と経験しており、自動化の精度には課題が残る。誤動作が起きた際、現場では「AIの実行結果を事後的に検証する」(64.4%)、「その都度、手動で停止/修正する」(63.0%)といった後追いの処置を取らざるを得ない。AIツールの誤動作に伴う影響を抑える仕組みを導入済みである企業は約7割に達するものの、それでも誤検知や誤動作への事後処理を「非常に負担になっている」「やや負担になっている」と感じる割合は合計で89.0%に上る。
このような状況は、システム担当者の心理面にも暗い影を落としている。AIツールに業務を任せることに対して、全体の60.9%が心理的な抵抗を「強く感じる」あるいは「やや感じる」と回答した。その最大の理由は「誤動作が起きた時に誰が責任を取るのか不明確だから」というもので、68.7%を占める。次いで「どのような根拠でAIが判断したのか分からないから」(55.2%)、「AIの動作を人間が制御できなくなりそうだから」(53.7%)といった声が続く。
AIツールの操作記録について見ると、「全ての操作が詳細に記録されている」と答えた企業は46.4%にとどまり、半数以上の企業では証跡管理が不十分な状態だ。これがAI特有のブラックボックス化を招き、責任所在の曖昧さや現場の不安を増幅させる要因といえる。
AIOpsによるIT運用の効率化は今後も加速するとみられるが、効率化と同時に新たな負荷が生まれている背景には、人間とAIツールが同じシステム構成で作業する際のルールや整理が追い付いていない点がある。運用現場が安定してAIツールによる自動化を進めるためには、AIツール自体の精度向上を待つだけでは不十分だ。AIツールにどこまでを任せ、どこからを人間が担うのかという責任分界点の明確化や、人間とAIツールの操作が混在する条件を適切に制御する仕組みが不可欠となる。技術的な導入にとどまらず、運用プロセス全体の再構築が急務だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。