情シス不足でも「採用しない」中小が7割 DXを阻む本当の原因:少人数情シスの限界
IT人材の不足に直面しながらも、費用負担への懸念から新たな正社員採用を見送る中小企業が後を絶たない。人員を増やさずにDXを進める道はあるのか。調査から見えた現場の機能不全と、潜むリスクとは。
企業の持続的成長においてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は避けて通れない最重要課題だ。しかし、中小企業の現場においては、ITに関する業務全般を1人の情報システム担当者が抱え込んだり、日々のシステム保守・トラブル対処を優先させることで機能不全が発生したりしている。
こうした背景を受け、情報システム部門支援サービスを手掛けるジー・ブーンは、2026年6月26〜27日に、中小企業の経営者2254人を対象とした「中小企業の情報システム部門に関する実態調査」を実施した。
調査によると、自社の情報システム部門の人材不足を感じている企業は約3割存在する。しかし、課題を抱えながらも、人材不足と回答した経営者の74.3%が今後も新たな正社員を「採用する予定はない」と回答した。昨今のIT人材の高騰や固定費増加の懸念から、情報システム部門の増員に消極的な実情が浮き彫りとなった。
新たな情報システム担当者を採用せずに、中小企業はどのようにDXを進めようとしているのか。現状の体制のまま進めることによる障害は何なのか。調査から、これらの問題に対する懸念事項と解決策を読み解く。
情シス担当者の採用を見送る中小企業の実情
調査結果によると、自社の情報システム部門の人材が「不足している」と回答した割合は29.5%だった。約3割の企業が人材不足を感じている一方で、「今後、情報システム部門の新たな正社員を採用する予定はあるか」という問いに対しては、「採用はしたいが現実的に難しく予定していない」が44.5%で1位となった。「採用予定はない」の29.8%と合わせると、およそ4分の3の企業が新たな正社員採用を見送る方針を示している。
この結果は、経営者が抱える深刻な費用負担への意識と直結している。「情報システム部門の新たな正社員を採用しない理由は何か」という質問に対し、最も高い割合を占めた回答が「不透明な経済情勢下で、固定費(人件費)を増やすリスクを避けたいため」であり、43.9%に達した。次いで、「昨今のIT人材高騰により、自社の予算内では優秀な人材の採用が難しいため」が28.9%となった。「慢性的なIT人材不足により求人を出しても人が集まらないという現実的な壁」(18.2%)、「情シス部門は直接利益を生み出さない『管理コスト』であると捉えているため」(18.6%)といった回答もあった。経営層の間で、間接部門である情報システム部門に対して恒常的な固定費を投じることへの慎重な姿勢がうかがえる。
しかし、採用を見送るからといって、DXを諦めているわけではない。情報システム部門の人材が不足しており、かつ採用予定もないと回答した経営者の中で、「DXの推進意向がある」と答えた割合は57.9%と半数を超えた。激化するビジネス競争の中で、人員を増やさずに業務効率化やサービス変革を進めなければならないという状況が見て取れる。
では、限られた人手でどのようにDXを実現するのか。人員増加を伴わないDXの推進方法として挙がったのは、「導入が容易なITツール、SaaS(Software as a Service)の活用」がトップで42.3%だった。複雑なシステム構築を避け、手軽に利用できるクラウドサービスによって代替しようとする動きだ。「業務委託やフリーランスの活用」が32.2%、「外部ベンダーやコンサルタントへの委託」が29.7%と、必要なときだけ専門的なスキルを外部から調達する体制構築を目指す傾向も強い。「既存従業員の育成(リスキリング、配置転換)」を挙げる回答者は31.1%おり、社内人材の多能工化によって急場をしのぐ方針も一定数見受けられた。
ただし、こうした「持たざるDX」にはリスクが伴う。「人員を増やさないまま社内のDXを推進する場合に発生すると考える障害やリスク」について尋ねたところ、懸念のトップに立ったのが「専門知識不足によって費用対効果の低いシステムを導入してしまうリスク」で42.7%だった。社内にITの専門家がいない状態では、自社の業務に最適なツールを見極めることが難しく、SaaSを導入しても結果的に期待した効果を得られない恐れがある。
リスクとして次に多かったのが「日常の保守・トラブル対処が優先され、DXがいつまでも進まずに形骸化するリスク」(38.5%)だ。これは規模が小さい情報システム部門が抱えやすい問題であり、目の前の業務に追われて戦略的なIT活用が後回しになるという現場のリアルな課題だ。「DXツール導入後に現場に定着しないリスク」が30.1%、「経営層が求めるDXのゴールと現場の認識が異なり、期待外れに終わるリスク」が27.6%、「既存の情報システム担当者に過度な業務負担がかかり、離職を招くリスク」が24.5%と、社内での連携不足や特定担当者への負荷集中に対する懸念が列挙された。
中小企業におけるDX推進の最大の障壁は、単なるツールの不在ではなく、技術選定から運用定着までをけん引できる「組織的スキルの欠如」だと言える。正社員の増員が困難な状況においては、属人的な運用から脱却し、外部の専門人材を活用しながらいかに自走するチームを構築できるかが、今後の企業成長の鍵になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。