Case Study
テープレスバックアップ、人気上昇中
データバックアップの1Gバイト当たりのコストは、今でもディスクよりテープの方が低い。だが、データを社外に電子的に送信するという方法は、費用効果の面でも決して劣らないという認識が広がりつつある。
ストレージプロフェッショナルの間では、総合的に考えれば、バックアップデータを社外に電子的に送信するという方法は、物理的なテープを輸送するよりも簡単かつセキュアで信頼性に優れるだけでなく、費用効果の面でも決して劣らないという認識が広がりつつある。
確かに、今日でも1Gバイト当たりのコストはディスクよりもテープの方が低いが、日々のテープローテーションスキームで必要となるテープの数に加え、テープの劣化などに伴う補充コストを考え合わせれば、テープの1Gバイト当たりのコストの優位性は失われる。
ターゲットマーケティング大手、レベニューサイエンスのITディレクター、スティーブ・ウェザーフォード氏が2年前にテープの利用をやめたのも、テープのコストが高いことが1つの理由だった。レベニューサイエンスでは、顧客企業のWebサイトのトラフィックを分析し、広告収入を高める方法を提案している。同社はこの業務で、毎日数百Gバイトもの新しいWebログデータを収集しているという。セキュリティ上の理由から、データは90日間しか保管されない。「当社の場合、データの更新が頻繁であるため、テープのコストが非常に高かった。加えて、セキュリティ上の理由でデータを消去する必要があったが、それも容易ではなかった」とウェザーフォード氏は語る。
レベニューサイエンスは現在、ブルーアークのNASアレイのスナップショット機能を利用してデータをバックアップし、それをシアトルにあるリモートデータセンターに複製している。同社はデータの瞬間的なスナップショットを取っているため、ウェザーフォード氏は、壊れたデータが複製される可能性をそれほど心配しなくてもよい。同社では、Exchangeなどの社内アプリケーション用には、アバマーテクノロジーズの「Axion」ソフトウェアを使ってリモートサイトにバックアップしている。
辺境にある企業の場合、テープの輸送コストが大きな問題になる。ワシントン州チェイレンにある銀行でITディレクターを務めるトッド・ピットマン氏は、「ここは相当へんぴな場所だ」と話す。最も近い大都市(シアトルおよびスポキャーン)まで3時間もかかるという。「配送業者の手配や費用、事故の心配など、悩みの種は多かった」と同氏。
ピットマン氏の勤務する銀行は3年前、15台のサーバのデータをユニトレンズの「Data Protection Unit」(DPU)にバックアップし始めた。このシステムはホットスワップ対応ドライブを装備しており、同氏は町にある別の施設にこのドライブを保管していた。「しかし、バックアップの保管場所が十分に離れていないと、いつも監査人から言われていた」とピットマン氏は話す。同氏の銀行は昨年、1.2Tバイトの容量を持つ新しい「DPU 320」にアップグレードし、オプションのデータボールティング(保管)ライセンスを購入した。同行は現在、夜間バックアップデータを既存のT1回線経由で50マイル(約80km)離れたディザスタリカバリ(DR)サイトに送信しており、「監査人は大いに満足している」という。
ピットマン氏は、このシステムの価格はやや高かった(テープソリューションのコストが年間2万ドルなのに対し、2台の同一のDPUユニットの価格は約3万ドル)としながらも、ディスクボールティング方式のシンプルさが気に入っているという。DRサイトへの通信回線のコストについては、同行では以前からT1回線の費用を支払っていたため、問題にはならなかった。
テープレスバックアップに向けて段階的なアプローチを採用しているユーザーもいる。ネブラスカ州オマハにあるファームクレジットサービシズ・オブ・アメリカ(FCSA)でシステム管理者を務めるレベッカ・バーグ氏は現在でも毎日、テープにフルバックアップを行っているが、日々の差分データをディスクに保存するのに加え、毎週、テープにデータを複製して社外に保管するという方式に移行しようとしている。現在は毎日10本のテープを使っているため、「テープのコストは天文学的な数字になっている」とバーグ氏は話す。ディスクにバックアップすれば、データ管理サービス企業のアイアンマウンテンへの支払いも少なくなるという。
現状では、アイアンマウンテンが毎日午前9時にテープを受け取り、FCSAでリストアを行う必要が生じたときにテープを持って来るようになっている。「彼らがテープを持って来るたびに、75ドル取られる」とバーグ氏は話す。テープを使ってインクリメンタルバックアップするという方法では、アイアンマウンテンへの支払いがさらに増えることになる。インクリメンタルリストアを実行するには、前回のフルバックアップ以降のすべてのテープが必要になるからだ。バーグ氏は、いずれテープを完全にお払い箱にしたいと考えており、そのためにコムボールトシステムズやトピオのレプリケーションソフトも検討している。
しかしアイアンマウンテンでデータ保護/リカバリを担当するプログラムマネジャー、ジェフ・ネスノー氏によると、同社が運搬するテープの数量には大きな変化がないという。「ユーザーは効率的にデータをテープに書き込むようになってきたが、この節約分はストレージの増加率によって帳消しになっている」と同氏は話す。アイアンマウンテンは、バックアップソフト「LiveVault」を通じて電子ボールティングサービスを中堅・中小規模の企業ユーザーに提供しているが、大企業の場合には、「通信方式の経済的メリットは失われ、テープの方が有利になる」という。
ディスクベースのデータ保護サービスを手掛ける新興企業、データドメインのフランク・スルートマン社長兼CEOによると、通信コストは次第に低下しているが、標準的な大企業が作成するバックアップデータの量に対応できるほどには下がっていないという。
「データ量を数十分の1に削減すれば、通信回線経由でバックアップデータを送信できるようになるだろう」と同氏は話す。データドメインのアプライアンス「DD400」シリーズには、ブロックレベルのシングルインスタンス技術によって、数十分の1というレベルのデータ削減を実現するという。さらにデータドメインは先月、自社のアプライアンス向けの高度なレプリケーション機能を発表した。この機能は、バックアップデータのサブセットを複製したり、ピア・ツー・ピアあるいは多対1のレプリケーション構成をセットアップすることを可能にする。
本記事は「Storage」誌の2006年6月号に掲載されたものである。
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