エンタープライズサーチで加速するNotes情報活用:連携ツールでNotes徹底活用【エンタープライズサーチ編】
Notesはその柔軟な拡張性の一方で、データベースの乱立による情報の再利用性低下の問題が指摘されている。エンタープライズサーチとのコラボレーションで、情報資産再活用への可能性が見えてきた。
Notesユーザーが抱える目的の情報を探せないという悩み
企業内では情報システムが乱立し、蓄積されるデータも日々増大している。情報洪水でファイルサーバが肥大化する中、必要な情報を探せないといった事態がさまざまな問題を引き起こしている。
その最たるものが、情報を効率的に探し出せないことによるホワイトカラーの生産性低下だ。その傾向は年々拡大し、経営者の大きな懸念材料となっている。ある大企業を対象に行った調査によると、1日の業務時間のうち、情報収集にかける割合は平均11.8%になるという。それを年収700万円の社員で考えた場合、1人当たりの年間情報収集コストは82万6000円。社員3000人の企業では24億7800万円に上る計算だ。
また、情報を見つけられないために本来流用できるはずの資料が入手できず、その結果として、重複作業の増加やトラブル・失敗事例の再発、あるいはビジネス機会の損失を招くケースもある。
さらに、社内情報資産の未活用問題も深刻だ。ある企業の例では、情報資産全体の8割が3カ月以上アクセスされず放置されているという結果が出たという。無価値の情報の維持・管理のために会社の利益が使われるといった、まったく無駄な現状があるのだ。
1989年に初版がリリースされて以降、今や世界の大企業の半数以上が導入しているという「IBM Lotus Notes/Domino」(以下、Notes)は、グループウェア市場で依然トップの地位を維持する。しかし、Notesユーザーにおける最大の悩みも、目的の情報を探しづらい、あるいは欲しい情報にたどり着けないといった問題なのである。
Notesにエンタープライズサーチが求められた理由
では、なぜNotesユーザーは情報検索に悩みを抱えているのだろうか。通信環境が貧弱だった90年代は、分散環境で有効に働く相互複製機能がNotes最大の売りだったが、その柔軟な拡張性があだとなり、乱立したNotesデータベースへバラバラに情報を格納するようになってしまった。それが問題の背景にある。
Notesユーザーが情報を探す際、通常は専用の「ワークスペース」内に構築された多数のデータベースの中から、目的の情報が保管されていると“思われる”データベースを開き、ファイルのタイトルを手掛かりに欲しい情報を見つけ出す。しかし、複数のデータベースに情報が分割して格納されている場合、記憶を頼りに探し出すには時間がかかり、データベースやファイル名が記憶にない場合は、どこに格納してあるのかさえ特定できないことになる。
そのため、R5以後のDominoには「ドメイン検索」が標準で用意されるようになった。しかし、そのドメイン検索もワークスペース上のデータベース群を一括検索することはできず、検索精度やレスポンスも満足できるものではなかった。文書管理ツールで満足に検索ができないのは致命的。そんなユーザーの不満がNotesにエンタープライズサーチを求める最大の理由となっている。
Notes内検索可能をうたうエンタープライズサーチ製品は数多く存在するが、その選択には注意が必要だ。例えば、アクセス権管理と通常運用の両立が難しい。Notesは利用ユーザーに対してNotes IDを発行し、それをACL(※)で管理しているため、管理者はセキュリティポリシーに基づいてそれら強固なセキュリティ機能に忠実な形で検索結果を反映したいと考える。
(※)Access Control List:アクセス制御リスト。ネットワークユーザーごとのアクセス権限や、アクセス可能なサーバ、ファイルなどの情報を定義した一元管理用のリストのこと。
しかし、ACLはデータベース、文書、セクションのそれぞれの単位で、組織別、ロール別、個人別に細かく管理する。そのため、ヒットした文書を表示するたびに問い合わせが発生し、サーバに相当の負担を掛けるので、レスポンスやパフォーマンスに影響が出る場合がある。また、検索エンジンによってはインデックスへの差分更新が夜間に行われることがあるため、サーバのメンテナンスタスクのスケジュールとかち合ってしまうとサーバ負担は相当なものとなり、最悪の場合はサーバマシンの停止を招いてしまう。日常的にNotesを利用しているユーザーにとってサーバマシンの停止は大きな問題になるため、その点を考慮した製品選択が望ましい。
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